
国内最大級のライブ配信アプリ「Pococha」の年間最大級イベント『POCO LAND 2025』。12月に行われたCelebration PartyでGrandSeries Diamond モダンルールの2位入賞を果たしたのは、クラシックピアニストとして演奏家派遣会社を経営しながら、ライブ配信の世界に飛び込んだ中村理恵だった。
「音楽家が、音楽だけできちんと生計を立てていける世界を作りたい」。その思いで会社を立ち上げて20年。コロナ禍をきっかけにライブ配信と出会い、配信歴5年でPocochaのトップライバーへと上り詰めた。
これまでのPOCO LAND(Grand Series 2023)最高順位は7位。「今回が最後だと思ってやろう」——そう覚悟を決めて挑んだ舞台で、彼女は初めて表彰台に立った。
音楽とライブ配信の可能性を信じ続ける彼女が、POCO LANDの舞台で感じたこととは。
ーー簡単な経歴や普段のライブ配信スタイル、配信以外の活動について教えてください。

配信歴は、ちょうど5周年になります。
普段の配信では、ピアノを弾きながらの音楽配信を中心に活動しています。
音楽大学を卒業後、演奏家の派遣を行う会社を立ち上げ、今年で20周年を迎えました。
「音楽家が、演奏だけ・音楽だけで、きちんと生計を立てていける世界を作りたい」そんな思いから、”少しでもクラシック音楽を身近”にというコンセプトで、これまで活動を続けてきました。
その中で、コロナ禍をきっかけにライブ配信をスタートしました。
今は、ピアノを弾きながら、音楽の素晴らしさや楽しさを、配信を通して届けられたらという思いで配信をしています。
また、銀座ではクラシックの演奏家だけが働けるお店も経営しています。
ライブ配信以外の活動としては、個人でのライブ活動も行っています。
活動の中で、一番大きく変わった転機が、やはりPocochaでの配信でした。
ライブ配信を始めたことで、ソロでの全国ツアーを行わせていただくなど、以前は想像していなかった活動の幅が広がりました。
現在は、会社としてライバー事務所としての機能も持っており、ライバーさんのマネジメントやサポートも行っています。
ーー年間最大級のイベント「POCO LAND 2025」。今回はどのような覚悟やテーマを持ってエントリーし、準備を進めてきましたか?
ライブ配信は、やっぱりナマモノだと思っています。だからこそ、「今できることを、今一生懸命やらなきゃいけない」という気持ちは、常に持っています。
POCO LANDは、これまでの最高順位が7位でした。
今回はどうしても3位以内、表彰台に立ちたいという思いがあり、できれば優勝できたらいいな、という気持ちで挑みました。ファミリーさんとも、団結したいという思いがあって、モダンルールにエントリーしました。
特別に「覚悟を決めた」という感覚はなかったんですけど、ここまで来られる保証は来年にはない。だから「今回が最後だと思ってやろう」と、自分の中ではそう決めて挑みました。その気持ちはファミリーさんにも、そのまま伝えていました。
実際に、予選であるアプリ内オンラインイベント「20 Stars」では1位入賞・1位通過ができました。
今回は、ぽこナイト集めもかなり積極的に行いました。応援バーストを取りたかったので、ぽこナイト数、応援ポイント、貢献者のバランスなど、すべてを意識しながらの戦いでした。
普段は雑談枠ではないので、横の繋がりは正直あまりなく、ライバーさん同士の交流も多い方ではありません。それでも今回は、リスナーさんにも協力してもらいながら、いろいろなライバーさんとぽこナイトを交換したり、交流も意識的に行いました。
ーー 入賞が決まった瞬間、そして表彰のステージで見た「景色」はいかがでしたか?その時の率直な心境を教えてください。

率直な気持ちとしては、「20 Stars」を1位で通過したので、最後は1位入賞を目指して本選に挑んでいました。その分、感想としてはやっぱり悔しかった、というのが正直なところですね。
これまではずっと、入賞者を外から見ている立場だったんですけど、実際に自分が入賞して表彰台に立った時に見えた景色は、「最後」と言っていたはずなのに、「やっぱりもう一回頑張りたいな」「せっかくなら優勝したいな」と思いましたね。
本当は、「20 Stars」の時点では、「本選はいいから、まずは『20 Stars』だけを取りに行こう」という気持ちで挑んでいました。ただ、いざここまで来ると、「せっかくここまで来たんだから、最後まで頑張ろうよ」という流れになって、本選にも挑むことになりました。
結果として、わらし。ちゃんも本当に強かったですね。もし1位を取っていたら、そこで満足していたかもしれません。そういう意味では、次に繋がる2位だったのかな、と思っています。
ーーイベントを通じて得た体験・経験、リアルイベント当日の感情を教えてください。
イベントを通じて得た体験や経験としては、前回の甲子園に引き続き、「ひとりの力では成し遂げられないことも、ファミリーみんなの力が合わさることで、不可能が可能になる」ということを、改めて強く感じました。
やっぱり雑談枠と違って、音楽枠は横の繋がりが意外と少ないんです。だからこそ、リスナーさんがいろんな方に声をかけてくださったりして、輪がどんどん広がっていったことで、たくさんの奇跡が生まれたなと思います。いつも感謝していますが、今回はより一層、感謝の気持ちが強くなりました。
今回は、今までとは全然違う感情で、リアルイベントをあまり楽しめる余裕はなかったです。
リスナーさんと向き合うというか、この時間を画面の中で一緒に、誠心誠意向き合っていくことに、いっぱいいっぱいだったのかもしれません。
イベント自体は例年通りだったと思うんですけど、その中心にいたというか、自分が入賞するかもしれない立場にいたことで、これまでとはまったく違う気持ちで、オフラインのリアルイベントに臨んでいました。
ーー 激戦となった期間中、特に苦しかった場面や、逆に「これが勝因になった」と感じるターニングポイントはありましたか?
イベント期間中は、お店がずっと営業中だったこともあって、24時の応援バーストの締めは、すべてラジオ配信での放置というか、リスナーさん任せになってしまっていました。それがいちばん苦しかったですね。
ただ、逆に言えば、そんな状況でも私の仕事をきちんと理解して、応援バーストを見てくれていたリスナーさんには、本当に感謝しています。
初日から地方公演があったりもして、家でしっかりピアノ配信ができる時間はかなり限られていました。そんな中でも、少ない配信時間の中で、みんなが本当に頑張ってくれたなと感じています。配信時間を十分に取れなかったことが、やっぱりいちばん苦しかった場面だったと思います。
それでも、リスナーさんが自発的に声をかけてくださって、ナイト交換も快く引き受けてくれたりして、みんなで一丸となって頑張れたことが、大きかったですね。
あとは、リスナーさん一人ひとりの思いが本当に強かったことが、今回の勝因だったのかなと思います。
ーー 今後のPocochaでの活動や、ライバーとして次に目指したい目標があれば教えてください。

1人でも多くの方に、音楽の素晴らしさを伝えていきたいという思いは、ずっと変わらず持っています。その中で、ライバーとして次に目指したいのは、Pocochaの中だけにとどまることではなく、「ライブ配信と演奏家をつなぐ存在」になることです。
私はずっと、ライブ配信には無限の可能性があると思っています。歌手になりたい方や、何かやりたいことを持っている方に対して、「ライブ配信を通して、こんなふうに現実にできる」ということを示せる先駆者になりたいです。
お家でできて、スマホひとつあれば始められる配信で、私自身も人生が変わったと感じています。だからこそ、音楽を続けながらきちんと生活ができるという生き方を、もっと世の中に広めていけるような存在に、自分自身がなっていきたいと思っています。
ーーライバーとして次に目指したい目標があれば教えてください。
音楽家のライブ配信は少し特殊で、これまでは雑談枠の方たちが強い世界だったと思っています。「なんで音楽枠は弱いんだろう」ということを、この5年間ずっと考えてきました。
やっぱり「音楽を伝えるだけ」の配信だと厳しいんだなと感じるようになって、なるべくお話もするようにしたり、一人ひとりとの繋がりを濃くしていくことを意識するようになりました。そこが大きく変わった部分かなと思います。
だから今回のPOCO LANDで音楽ライバーが上位に入賞できたことは、たくさんの音楽家に希望をもたらせたんじゃないかなと思いました。実際、音楽ライバーさんが頑張っている姿を見て、「自分も頑張ろう」と思えた部分もあって、そういう変化が生まれたこと自体がすごく嬉しかったです。
日本は芸術に対する評価がまだまだ厳しくて、どれだけコンクールで優勝しても、それだけでは生計を立てられない現実があります。だからこそ、ライブ配信を通して音楽活動がプラスになる可能性があること、そこからファンが増えたり全国ツアーができたりする未来があるということを、少しでも多くの人に知ってもらいたいんです。
実際に、ライブ配信を始めたことで全国のいろんな方と繋がることができて、リアルなライブや全国ツアーもできるようになりました。自分自身がひとつのモデルになって、「自分もライブ配信、頑張ってみようかな」と思ってもらえるような存在になれたら嬉しいですね。
ーー 長期間の戦いを支え続けてくれたリスナーさんやファミリーは、ご自身にとってどのような存在ですか?
毎日お話をしたり、お互いの心境を報告し合ったりしているので、もう家族以上の存在です。
どうしても投げ銭アプリというイメージから、「投げないといけないんじゃないか」と思っている方もいらっしゃると思うんですけど、せっかく一期一会でこうして出会えた人たちで、ライブ配信をしていなければ出会わなかった人ばかりなんです。
だから、応援の形や投げる量が、その時々の事情で変わったとしても、ずっと繋がっていられるような存在でいたいなと思っています。
会社をやっていると、社員の前では弱音を吐けなかったりすることもあるんですけど、配信では弱音を吐いたり、普段はなかなか見せられない自分の姿も見せています。そういう場所を作ってくれている、本当に大切な存在だなと感じています。
「20 Stars」を終えたあと、本選はもう戦わないつもりだという話をしていたんですけど、リスナーさんの方から「いや、もうここまで来たんだから、本選も頑張ろうよ」と声をかけてもらって、「せっかくここまで来たんだから」というその一言が、いちばん勇気をもらえた瞬間でした。
ーー そもそもライブ配信を始めたきっかけは何でしたか?

本当に、コロナがきっかけでエンタメ業界は一度大きく止まってしまって、自分自身に何かできることはないかな、発信できることはないかなと思って始めたのが、ライブ配信でした。
最初は本当に軽い気持ちだったんですけど、やり始めていくうちに、どんどんライブ配信の魅力を知って、気づいたらハマっていきました。
コロナをきっかけに、ライブ配信を始めた人もいれば、別の仕事を始めた人もいて、それぞれの人生が大きく変わった出来事だったと思います。その中で、私はどうしても音楽を辞めたくなかったですし、会社やお店も一時的にストップしていた時期はありましたが、守らなければいけない人たちがいる立場でもあったので、「本当に何かしなきゃいけない」という気持ちで始めました。
技術だけで世界一になれても、誰かにとって特別な“オンリーワン”の演奏でなければ、この道では生きていけないと思っていて、ライブ配信を通して、「自分の魅力を表現しながらファンがついていくんじゃないか」という希望を感じたことで、本気で取り組み始めましたね。
ーー始めた当初の自分と、POCO LAND入賞を果たした今の自分で、一番変わった部分はどこだと思いますか?
始めた当初はもちろん、S帯ライバーと呼ばれている方たちを見ていた頃は、正直もう別世界の人たちだと思っていました。
ライブ配信を本業にしないと上にはいけないものだと思っていたので、会社もお店もやっている自分には無理なんじゃないかと感じていたんです。
ただ、限られた配信時間の中でも、きちんと思いや伝えたいことを届けていけば、自分なりの形でも上にいけるという証明はできたのかなと思っています。
そうした積み重ねの中で、今の自分があると思いますし、そこは大きく変わった部分ですね。
今回、ライブ配信でトップにならせてもらって、Pocochaが今年で10周年を迎えるんですけど、その10年の中で「億ポイント」を稼いだライバーって、過去に21人しかいなかったんです。そこに、12月で私が22人目として入らせてもらったんです。
正直まだ信じられない気持ちはあります。
ただ、ライブ配信に対して、自分自身が一番その魅力を理解して、それを伝え続けてきたことが、今の立ち位置につながっているのかなとは思っています。
やっぱり、始めた当初の自分と違うところは、ライブ配信により真摯に向き合うようになったところですね。
最初から向き合ってはいましたけど、「ランクで人を見るのは良くない」「ライバーさんの価値をランクで位置づけるのは違う」ということは、ずっと強く伝えてきました。
私は、どの帯でも配信スタイルは変わりません。
ピアノを弾きながら、皆さんから常にリクエストをもらって、その場で初見の曲もどんどん弾いていくスタイルでライブ配信をしています。
それは今もずっと変わっていないですし、S帯ライバーやトップライバーになったからといって、偉いとか、すごいとか、そういうことでもないと思っています。
ライブ配信って、どんなリスナーさんが集まるかによってランクも変わっていく、すごく不思議で、なんとも言えない世界だと思っています。
だからこそ、自分自身はそんなに変わっていないというのが正直な気持ちですし、そのことはみんなにも常に伝えています。
ただ、ライブ配信そのものが、自分の中でとても大きな存在になってきた、という点は大きく変わったところかもしれません。
でも、音楽を伝えたい、音楽の素晴らしさを届けたいという気持ちは、始めた当初から今まで変わっていないので、「めちゃくちゃ変わった」という感覚は、あまりないですね。
ーー POCO LANDを通して、他のライバーさんとの交流はありましたか?またその方たちへのメッセージがあればお願いします。
イベントを通して、お会いできるライバーさんたちとはお互いに励まし合ってきました。わらし。ちゃんに会えたのも、とても嬉しかったです。
最近ではPococha甲子園も開催され、年に2回大きなイベントがあるイメージなんですけど、「また次回も参加できる」という確約があるわけでもないですし、来年も同じコンディションで戦える保証はない世界だと思っています。だからこそ、「今年も1年間頑張ってきたね」っていう感覚でライバーさんに会えると、純粋に嬉しいですし、お互いに「また頑張ろうね」って称え合える、そんな気持ちになりました。
でも逆に、毎年会えていたのに今年は会えなかったライバーさんもいて。そういう方たちの気持ちを考えると、日々頑張り続けなきゃいけないなと改めて感じました。
今回のイベントはバタバタしていて、あまりゆっくりお話はできなかったですが、知っている方とは挨拶を交わしました。お互いにリスペクトし合っている関係なんだろうなと感じていますし、みんながここに来るまで、やるべきことをすべてやり遂げてきて、最後の90分に挑んでいたんだな、という印象でした。
どんな状況になっても、「ライブ配信には無限の可能性がある」という思いは変わりません。音楽だったり、それぞれがやりたいことが、ちゃんと形になっていくんだということは、これからも発信し続けていきたいですね。
ーー 2026年10周年を迎えるPococha。POCO LAND 10周年祭 / Pococha甲子園2026への挑戦も含めて、これからの一年をどのように迎え、過ごしたいでしょうか?

今回2位という結果だったこともあり、Pococha甲子園とPOCO LANDを見据えて、これからの1年間もライブ配信を続けていきたいなと思っています。
どんなことが起こったとしても、地に足をつけて、出会ったリスナーさん一人ひとりを大切にしながら、少しずつ輪を広げていきたいです。日々の配信でしっかり向き合い、いい時間を一緒に過ごしていくことが、結果的にPococha甲子園やPOCO LANDでの結果にも繋がっていくのかなと思っています。
また、リアルライブも全国ツアーとして、九州から北海道までさまざまな場所に行っているので、実際にリスナーさんと直接お会いして、交流を深めていけたらいいなと思っています。
そんな1年になったら嬉しいですね。
ーー 最後に、共に戦ってくれたファン・リスナーさん、そしてこの記事を読んで初めてあなたを知った読者へ向けてメッセージをお願いします!
共に戦ってくれたリスナーさん、本当にありがとうございました。
「出会えてよかった、応援してよかった、一緒にこの時間を過ごしてよかった。」そう思ってもらえるように、これからも頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします。
そして何より、感謝の気持ちでいっぱいです。
私自身、配信時間も限られていて、仕事をしながらお店もやっているので、平日はどうしても夜に配信できない日もあります。それでも、夜中に帰ってきてから、1時半頃から朝まで配信している時に、ずっと付き合ってくださるリスナーさんもいて、本当にありがたいなと感じています。
皆さんへの感謝の気持ちとともに、これからもお互いに体を大切にしながら、一緒に歩んでいけたら嬉しいです。
ーー活動の告知はありますか?
告知としては、2026年9月9日に Billboard Live TOKYO(ビルボードライブ東京)でライブが決まっているということです。
これは一番大きなイベントで、実際にたくさんの会社のアーティストさんが集結するイベントにもなっています。
そこで、皆さんに音楽の素晴らしさを少しでも知ってもらえたらいいなと思っていますし、私自身もライブ配信を通して、そういった音楽の魅力を伝えたいという思いで活動しているので、ぜひ足を運んでもらえたら嬉しいです。
実際に配信ではその場で、自分の好きなアーティストさんや好きな曲をリクエストしてもらって、自分なりにアレンジしながら演奏しているので、ぜひ一度、生で見に来てもらえたら嬉しいなと思います。
本当に、音楽の力ってすごいなと日々感じているので、まずは一度、Pocochaをダウンロードして、遊びに来てもらえたら嬉しいです。
POCO LAND 9周年祭

「つながる想い。きらめく未来。」をテーマに、ライブ配信アプリ「Pococha」が9周年を記念して開催したアプリ内最大級のイベント。クラシック(純粋な応援の量で競争)とモダン(応援してくれるファンの数で競争)の2ルールで競われ、予選イベント「20Stars」を勝ち抜いたライバーがオフラインイベント「Celebration Party」に招待された。
開催期間:
ぽこチャレ ラウンド1:11/11〜11/20(参加任意)
ぽこチャレ ラウンド2:12/1〜12/9(参加任意)
20Stars:12/11〜12/17のうち5日間(各ステージにより異なる)
Celebration Party:12/24
特設ページ:https://pocoland.pococha.com/

〈ライブタイムズ編集部〉
