2026年9月13日、秋葉原「P.A.R.M.S.」で、TikTokライバー「国民的せんべい」のコンサートが開催された。今年で4回目を迎えたこのコンサートは、2023年にリスナーへのファンサービスの一環としてスタートし、今では毎年恒例のイベントとして定着している。
これまでのライブは、せんべい自身が中心となる単独公演だったが、今回は趣向を変え、複数のライバーが出演する合同ライブとして開催。これまでの活動を支えてきたリスナーへの感謝を伝える場であると同時に、新たな仲間たちとの挑戦を形にしたステージでもあった。今回はその歩みをせんべい自身に振り返ってもらった。

リスナーの「歌を聴きたい」という思いから始まった挑戦
多くのライバーが活動を続ける中で、「いつかリアルイベントを開催したい」と考える人は少なくない。しかし、せんべいがライブを始めた理由は少し違っていた。大きなステージへの憧れやアーティスト志向が出発点だったわけではない。原点にあったのは、配信を見続けてくれたリスナーたちの応援だった。
「私はもともと歌も歌えず、ダンスもできませんでした。それでも配信を見てくれていたリスナーさんたちが『歌を聴きたい』と言い続けてくれ、それがきっかけでボイストレーニングに通い始めました。そこから、3年ほど経って今度は『オリジナル曲を作ろうよ』と言ってもらえるようになり、実際にオリジナル曲をイベントで勝って獲得することができました。その時に、応援してくれた皆さんに感謝を伝えるためにコンサートをはじめたんです」と、せんべいは語る。
現在ではライブイベントを開催するまでになった彼女だが、当初は人前で歌うことすら想像していなかったようだ。歌にもダンスにも自信はなく、ステージに立つ自分の姿など思い描けなかった。
「応援してくれる人がいるなら応えたい」その思いが、少しずつ彼女を大きくしていった。ひとつひとつの積み重ねは決して派手なものではなかったが、その努力が後のライブ活動へとつながっていったことはいうまでもない。
オフ会から始まったコンサートの原点

意外にも、第1回目のイベントは本格的なライブとして企画されたものではなかった。2023年、故郷・岡山で駅ナカ広告への掲載が実現した際、応援してくれていたリスナーたちから「実際に見に行きたい」「せっかくなら会いたい」という声が集まった。そこで、配信の中で交流していた人たちと、リアルの場で初めて顔を合わせる。その特別な機会を作ろうという思いから開催されたイベントだった。
「1回目のコンサートは、オフ会に少し歌の時間がついたようなものでした。その後オリ曲をイベントで勝ち取って、オリ曲を直接聞いてもらうためにライブを開こうと思っていたところ、リスナーさんの要望でダンス企画をすることになりました。出会ったダンスの先生がたまたまアイドルの方で、『私が振り付けをつけるからダンスを続けたほうがいいよ!』と言って下さり、歌って踊るコンサートをしよう!となりました」と、せんべい。
ライブでは普段応援してくれるリスナーに成長を見てもらい、喜んでくれる姿を見ることができ、配信だけでは得られない感動があった。画面越しの交流とは異なる温度感に触れたことで、「もっとステージを通じて気持ちを届けたい!」と考えるようになっていったのだという。
第2回以降は東京・秋葉原のライブ会場「P.A.R.M.S.」へ舞台を移した。アイドルライブやさまざまなイベントが開催される本格的なライブハウスであり、ステージ演出や照明を活用した本格的なライブが実現するようになる。
こうしてライブは、単なる交流イベントから1年間の成果を披露する場へと進化した。歌やパフォーマンスの成長を見せるだけでなく、活動を支えてくれた人たちへ感謝を伝える特別な1日として定着していったのである。
そして、4回目となる今回のライブには、全国津々浦々約100人のリスナーが集まった。会場には開演前から多くのファンが訪れ、推し仲間同士リアルな場で語り合う姿があった。中には、この日のためにオリジナルデザインのうちわや、のぼりを制作したという熱心なファンもいた。会場には期待感が漂い、開演を待つ時間からすでにみんなで、せんべいを盛り上げていこうという熱気につつまれた。
心霊配信者たちとの異色の初合同ライブ

今回のライブには、これまでと大きく異なる点があった。それが「合同ライブ」というスタイルである。
きっかけは、心霊配信者として活動する「山ちゃん」との出会いだった。二人が知り合ったのは、前年に「ぜろわん」が企画した相撲大会であったという。その後、心霊配信への同行やコラボ企画を通じて交流が深まり、活動を共にする機会が増えていった。
これまでの活動ではTikTokイベントや配信バトルを中心としたライバーとの関わりが多かったが、「心霊」配信という今までとはまったく別ジャンルのライバーたちとの交流は、せんべいにとって大きな刺激となった。
「2026年は心霊配信にも参加させてもらい、多くの配信者さんと知り合うことができました。私はこれまでは、TikTokの公式イベントやバトル配信を中心に活動するライバーさんとコラボするケースが多かったのですが、心霊配信者さんたちはパフォーマンスや企画そのものでリスナーさんを楽しませることを大切にしていて、私も一緒に活動するなかで自分自身が大きく成長できたと感じていました。そんなことから、山ちゃんに一緒にライブをやりませんかと声をかけたら、OKしてもらえまして、合同ライブが実現しました」と、せんべいは、今回の合同ライブ企画のいきさつについてこのように語った。
こうして生まれた今回のステージは、ジャンルの壁を越えた新しい試みになった。
ステージ未経験のライバーたちと作ったエンターテインメント

合同ライブの出演者は、せんべいを含め総勢11人。そのうち歌を活動の中心としているライバーはわずか2人だったという。つまり、せんべいばかりでなく、多くの出演者にとって本格的な合同によるライブステージは未知の挑戦だった。
本番に向けての準備期間は決して簡単なものではなかった。ダンス練習や立ち位置の確認、リハーサル、演出の調整など、限られた時間の中で全員が力を合わせてステージを作り上げていったのだという。また、せんべいの所属事務所のタイムチケットのマネージャー陣も全面バックアップし、スタッフの手配やタイムキーパーなど、受付や舞台準備などさまざまな場面で活躍しているのが印象的だった。
そんな中せんべいは、出演者としてステージに立つだけではなく、総合プロデュースも担当。リハーサルなどでは、出演者を積極的にリードしている姿もあった。構成、映像、進行、演出などライブ全体を見渡しながら、自分のステージやパフォーマンスだけでなく、出演者が全員輝ける場を作ることに力を注いでいる様子を見ることができた。
「今回は、ライバー個人のソロステージ以外にも、グループでのパフォーマンスにも多く挑戦しました。例えばみんなで『ミニモニ』の衣装を着て『ジャンケンぴょん!』をステージで一緒に踊ったり、エンディングでは『パイ投げ』をやったり、全員で『ファンサ』を歌って、かつてないほど、盛り上がることができました。みんなでやったからこそできた賑やかで楽しい内容だったと思います」と、せんべいは振り返る。
会場では笑い声と歓声が絶えず、出演者たちも観客も一緒になってイベントを楽しんでいた。歌やダンスだけではない、ライバーならではの自由な発想が詰まった斬新なステージが繰り広げられていた。
「一緒にやりたい」と思われる存在をめざして

ライブ当日は、会場だけでなく配信も大きな盛り上がりを見せた。これはライバーが開催するライブならではの特徴でもある。会場で楽しむ観客と、画面越しに応援する視聴者。その両方が同じ時間を共有しながらライブを作り上げていく。会場には歓声が響き、配信画面にはコメントやギフトが次々と流れる。ライブ配信ではTikTokユニバースが立て続けに投げられ、せんべいの歌をかき消してしまうほどの応援が続いた。リアルとオンラインが交差する空間は、まさに今回のライブ配信業界の最先端を思わせる風景だった。
「私はアイドルではなくライバーなので、会場に来てくださった方だけでなく、配信を見ている方にも同じように楽しんでほしいと思っています。ライブでは会場の歓声と、配信画面に流れるコメントやギフトの応援が同時に伝わってきます。会場の熱気と配信の盛り上がりを一緒に感じながらパフォーマンスできることが、ライバーとして本当に幸せな瞬間です。今回もたくさんの応援をいただき、その光景を見ながら改めてライバーをやっていて良かったと思いました」と、ライブの感想を語るせんべい。
自分の挑戦が仲間たちの挑戦につながる。その経験は、これまでのライブでは得られなかった新しい達成感だった。リスナーへの感謝から始まったライブは、いつしか仲間たちの夢や挑戦を応援する舞台へと成長を遂げていた。
「この先も私が何かをやると言った時に、リスナーさんにもライバーさんにも『一緒にやりたい』と思ってもらえる存在でいたいと考えます!」と、最後に語ったせんべい。
合同ライブを終えた10月4日には、東京・お台場で開催された音楽フェス「a-nation」に出演しライブパフォーマンスを披露するなど、休むことなく活動の場を広げている「国民的せんべい」。彼女の活躍に今後も注目していきたい。
プロフィール

国民的せんべい
1997年9月5日岡山県生まれ。身長157cm、趣味・特技:ライブ配信 / ヨーヨー / 縄跳び。タイムチケットプロダクション所属
TikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@senbeichan0905
〈ライブタイムズ編集部〉