2025年11月14日に開催された業界初の祭典「JAPAN LIVER FESTIVAL 2025」。そのリアルイベント内で行われたエキシビジョンマッチで、17LIVEの大坪俊樹が準優勝を果たした。
プロのサックス奏者として活動しながら、コロナ禍を機に17LIVEで配信を始めて5年7ヶ月。プロの演奏家と、プロ契約ライバーの”二刀流”として走り続ける大坪は、「いつかライブ配信が、子どもたちのなりたい職業に並ぶような業界にしたい」と語る。JLFという大舞台で何を感じ、何を見据えたのか。準優勝の舞台裏から、これからのビジョンまで、ライブタイムズが独占インタビューを実施した。

ーー改めて、簡単な経歴や普段のライブ配信スタイル、配信以外の活動について教えてください。
佐賀県出身で、高校からサックスを始め、武蔵野音楽大学器楽科木管楽器を首席で卒業、その後東京芸術大学の大学院修士課程までサックスで修了しました。NHKの音楽番組や『NHKのど自慢』への出演、高嶋ちさ子さんの番組企画での密着など、演奏家として活動してきました。コンクールでも1位や最高賞をいただいたりと、コロナ禍までは音楽家一本でやっていました。
ただ、コロナ禍でアーティスト活動がほとんどできなくなってしまって。これは日本全国のアーティストが同じ状況だったと思います。
そんな中で、周りからライブ配信を勧められたりもしました。実際に同じ演奏家の仲間で配信を始めて、すぐに月100万円ほど売り上げる人もいたんです。ただ当時は、自分の演奏を無料で提供してしまうことへの抵抗があって、ブランディング的にもどうなんだろうと悩みました。今思えば、若い頃のプライドみたいなものもあったと思います。
それでも半年ほど悩んだ末に、「コロナはこのままでは終わらないな」と思い、知り合いに相談して17LIVEで配信を始めることになりました。それからもう5年7ヶ月くらいになります。
現在はコンサート活動と配信をメインに、音大や芸大を目指している学生へのサックス指導も行っています。その他にも、ラジオやメディアなど、依頼があれば幅広く活動しています。
ーーJAPAN LIVER FESTIVAL エキシビジョンマッチに参加した理由・きっかけを教えてください。

普段はそこまで頻繁にイベントに出ているわけではないんですが、今回のJLFに関しては、個人的に「出たいな」という思いがありました。
全プラットフォームのトップライバーが集まるというイベントは初めてだったと思いますし、コロナ禍前から発展してきたライブ配信の世界の中で、そういう人たちが一堂に会する場というのは初めてだったので、そういう大きな舞台にはぜひ参加したいと思っていました。
自分が配信を始める時にも少し躊躇していた部分なんですが、ライブ配信ってどうしても「投げ銭でしょ」といった、少し軽く見られてしまうようなイメージがあると思うんです。
でも、今は17LIVEでもプロ契約の制度があったり、配信を一つの職業として価値を高めていこうという流れができています。世間からもきちんと認知される媒体になっていく流れの中で、自分もその一端を担えたらいいなと思っています。
自分が始めたプラットフォームでもある17LIVEを背負うような気持ちで、この舞台で戦ってみたいという思いがありました。
ーーどのような想いやテーマで挑みましたか?
正直、今回のようにトップ3に入れるかどうかについては、かなり厳しいだろうなと思っていました。
例えばプリンスこうやくんが17LIVEで始球式イベントに出た時の数字も知っていたので、「エキシビジョンにも出てくるんじゃないかな」と思っていましたし、17LIVEからTikTokに移ったトップライバーの方たちも参加する可能性があるとなると、最終順位はなかなか厳しい戦いになるだろうなと感じていました。
なので、まずはできる限り1回戦、2回戦と進んでいきたいという思いでした。トーナメントになったら、もう組み合わせ次第ではすぐ負ける可能性もあるなと思っていました。
あと、ライブコマースに関しては、僕は17LIVEの中では比較的初期から関わっていて、立ち上げの頃から携わってきた部分があります。今回の大阪ガスの「おでかけ納税」やケンタッキー(KFC)の企画などにも関わっていたので、そこでも力になれたらいいなと思っていました。
目指すからには上位に入りたいという気持ちはありましたし、当日はできるだけ1回戦で負けるようなことがないように頑張ろうと思っていました。なので、正直なところ準優勝という結果は、自分でもかなり驚いています。
ーーイベントを通じて得た体験・経験、リアルイベント当日の感情を教えてください。

スポンサーさんが後ろにたくさんついていたり、他媒体も含めて9つのプラットフォームのトップライバーが一堂に会するような場って、なかなかなかったんです。中には、今回初めて名前を知ったアプリもありました。
「こういう人たちがライブ配信業界を引っ張っているんだな」というのを実感しましたし、みんなで顔を合わせて、「これから一緒に頑張っていこうね」というような、ある意味タッグを組めたような感覚もありました。「1年後にここで会おうね」というような話もあって、そういう意味でもすごく特別な場だったなと思います。
結果としては、大阪ガスさんの「おでかけ納税イベント」でも1位をいただくことができて、エキシビジョンでも準優勝というところまで行かせてもらいました。
当日は本当にたくさんの人が集まってくれて、すごく印象的でした。イベント自体は平日の夕方からだったので、仕事の関係でなかなか人が集まりにくい時間帯でもあったんです。それでも、全ライバーの中で一番人が集まっていたんじゃないかというくらい、常にギフトが流れ続けている状態で、「久しぶりにああいう配信を見た」「すごかったね」と言ってもらえるような瞬間でした。
コロナが明けてからは、リアルの世界に人が戻っていく流れもあって、配信アプリでもそういう話をよく聞くようになりました。そんな中で、あの日はみんなが一斉に集結するような日になったのがすごく嬉しかったですし、自分の中でも大きな節目になったなと思います。
ーーエキシビジョンバトルで勝てた理由や、ポイントになった部分はありますか?

普段から、“本気のイベント”というのを頻繁には出していません。ギフトって決して少額ではないですし、リスナーさんにとっては大切なお金なので、疲弊して削れていくような応援の形にはしたくないという思いがあります。
なので、本当に取りたいイベントしか設定しないようにしているんです。今回は他のプラットフォームのトップライバーが集結するイベントだったので、「戦ってくるよ」ということをみんなと共有して、その日にみんなが集まってくれました。
うちの枠は、1人や2人の圧倒的な力で勝つというタイプではないんです。月間の応援コイン数で、100位の人が何コイン応援してくれたかという数字を、1年間ずっと17LIVEの中でトップであり続けようと決めて、みんなと一緒にやってきました。1人や2人の大きな力はなくても、「みんなで勝とう」という形をずっと続けてきたんです。
今回のイベントでも、自分の思いをみんなに伝えてきたことと、これまで積み重ねてきた枠の形が、ちょうど噛み合ってあの結果につながったのかなと思っています。
ーー全プラットフォームを巻き込んだ歴史的なイベントとなり、そこで入賞を果たしました。最前線で活躍するライバー目線で業界に対する課題や、解決したいものなどはありますか?

最初は演奏家としての活動を軸にしていたので、演奏単価や自分のブランディングを高めていく必要があるという意識が強くありました。だからこそ、「無料で演奏が聴けてしまう」ライブ配信に参戦することには、かなり抵抗がありました。
ただ、5年と少し続けていく中で、自分自身の考え方も変わっていきました。このライブ配信業界自体を、もっと盛り上げていける存在になれたらいいなという思いが強くなってきたんです。
実際、ライバーさんの中にも、なかなか「自分は配信をしている」と周りに言えていない人も多いと思います。リスナーさん側も同じで、「投げ銭をしている」「ライブ配信アプリを毎日見ている」といったことを、家族や知り合い、会社では言いづらいというのが現状だと思います。
だからこそ、配信者側もリスナー側も「それをやっていることが誇れる」「人に自慢できる」と思えるような場所にしていきたいです。「まだ知らないの?」「やってないの?」と自然に言えるくらいのブランディングや価値を、業界全体で作っていけたらいいなと思っています。
ライブ配信って夢があると思っていて、最初はみんなと変わらない一般の方が、そこから夢を追いかけて実現できる可能性がある。そこが大きな魅力の一つだと感じています。
その中で、自分にしかできないことは何かと考えた時に、プロの演奏家として活動している自分の存在だと思っています。「こういうプロの演奏家もライブ配信をやっているんだ」と思ってもらえること自体が、業界にとって一つの価値になるんじゃないかなと。昔のYouTuberのように、小学生や中学生の「なりたい職業ランキング」に入るような存在になっていけたらいいなと思っています。
ーー今後の活動や、ライバーとして次に目指したい目標があれば教えてください。
今年は、17LIVEの中にある「プロライバー」へ、できるだけ早いタイミングで昇格することが一つの目標です。現在はアンバサダーとして活動していますが、可能であれば任期満了を待たずにプロへステップアップしたいという思いがあります。
また今年は、より“外向け”の動きを強めていきたいです。スポンサーとの関わりや、ライブ配信者が企業と結びついていくような形ですね。
例えば、スポーツ選手がユニフォームにスポンサーのロゴを入れていたり、格闘技選手が身につけているアイテムに企業名が入っていたりするように、ライブ配信者も配信をしながら企業と自然に結びついていく。そういった未来が実現すれば、業界全体の社会的認知やブランディングもさらに高まっていくと思っています。
今年すぐに実現するものではないかもしれませんが、3年後、5年後を見据えたときに、そういった動きを作っていける存在になりたいです。プロライバーとしてのステップアップと同時に、業界全体の価値を外に広げていく。その両方に挑戦していくことが、今年の目標ですね。
ーーそもそもライブ配信を始めたきっかけは何でしたか?始めた当初の自分と、JLF入賞をした今の自分で、一番変わった部分はどこだと思いますか?

きっかけは、やっぱりコロナがなければ配信に興味を持つことも、始めることもなかったんだろうなと思っています。
コロナ前の自分は、仕事も普段連絡を取る人たちも、その8割くらいが音楽関係でした。配信を始めたことで、本当にいろんな職業の人や、さまざまな人と出会うことができて、音楽だけではない世界が広がったなと感じています。
始めた頃と今で変わった部分については、根本は変わっていなくて、「一人でも多くの人に演奏を届けたい」という思いはずっと変わらないです。
ただ、「自分が引っ張っていかなければいけない」「自分にしかできないことで、この業界に貢献できるんじゃないか」という意識は、最初はまったく持っていませんでしたが、今は強く感じています。今の自分の中では、音楽そのものだけでなく、業界の可能性や業界への貢献という部分への思いのほうが大きくなっているかもしれません。
ーー音楽との比重は、今どのように変化していますか?
自分にしかできない演奏スタイルや音楽、ステージというものは、今でも変わらず大切にしています。演奏に加えて歌も歌いますし、サックスのプロ奏者としての演奏もあります。そして、配信を通して強く感じているのは、MC、つまり「喋り」の重要性です。だからこそ、自分自身も「音楽 × トーク」を掛け合わせた、自分にしかできないスタイルを大切にしています。
コロナ前は、いただいた仕事は基本的にすべて受けていました。ただ今は、自分でなくてもできる仕事に関しては後輩に任せるようにしています。一方で、「これは自分にしかできない」と思える演奏の仕事やレッスン、メディア出演などは自分で受けています。
配信に関しても、数字の目標や月ごとの基準があるので、それを落とさないようにする意識がありますし、配信業界を引っ張っていきたいという気持ちもあります。配信という軸は、自分の代わりがいない部分でもあるので、そこにしっかり時間を使う。そうやって選びながら、ライブ配信の比重をしっかり作っています。
ーー最後に、共に戦ってくれたファン・リスナーさん、そしてこの記事を読んで初めてあなたを知った読者へ向けてメッセージをお願いします!

5年続けていると、これまで大きな応援をしてくれた人が今も毎日来てくれているかというと、そうではなくて。出会いと別れがあって、リスナーさんそれぞれにも流れやタイミングがあります。
でも、配信初日から今まで、本当にいろんなフェーズでいろんな方が関わってくれて、「この期間はこの人が支えてくれた」「この時期はこの人たちが盛り上げてくれた」という積み重ねがあって、今の自分があります。だから、これまで応援してくださったすべての人のおかげで今の自分があると思っていますし、その感謝は常に持っています。
今回のJAPAN LIVER FESTIVALでも、自分の想いを汲んで応援に来てくれた皆さんには本当に感謝しています。ここぞという時に、あれだけの人が集まってくれる。その瞬間に生まれる熱量や一体感は、まさに“その場でしか生まれない価値”だと感じています。
そして、直接自分のことを知らない人や、これまで一度もギフトを送ったことがない人であっても、この配信業界に関わってくれているすべての人に感謝しています。時にはライバルになるライバーさんもいれば、ライバルを応援するリスナーさんもいます。でも、それも含めて、この業界を一緒に作っている仲間だと思っています。
これからは、もっとこのライブ配信業界を盛り上げていきたいと思っています。例えばYouTubeが多くの人に認知され、「なりたい職業」として挙がるまでになったように、この業界ももっと価値を高めていけるはずです。
一歩ずつでも、時には大きく前に進みながら、この業界を一緒に盛り上げていけたら嬉しいです。これからも、よろしくお願いします。
JAPAN LIVER FESTIVAL公式HP:https://japanliverfes.livetimes.jp/
〈ライブタイムズ編集部〉