
TikTok Shop特化のインフラカンパニー「CREOK(クレオク)」CEO・桜井吉男氏へのロングインタビュー、最終回。前編ではキャリアの全貌とCREOK誕生の経緯を、中編ではTikTok Shop市場の実態と企業参入の勘所を聞いた。
後編では、ライブコマースで活躍するクリエイターに求められるスキルと育成の仕組み、そしてCREOKが描く「3年でIPO」「スーパーコマーサーの創出」「グローバル進出」という野望に迫る。中国では出演15分でインセンティブ8億円。その世界は、日本にも来るのか。
TikTokとLark「2つの0→1」を経た元ByteDance執行役員が語る、”集大成”としてのライブコマース|CREOK CEO 桜井吉男〈独占インタビュー・前編〉
「日本は世界17番目」TikTok Shop市場の実態と、企業が今すぐ知るべき参入の勘所|CREOK CEO 桜井吉男〈独占インタビュー・中編〉
「インフルエンサーより、量販店の販売員の方がマッチする」。ライブコマーサーの素質

ーーライブコマースで活躍するクリエイターに求められるスキルや素質を教えてください。
真っ先に挙げられるのはハングリー精神です。弊社ではライバーとは呼んでいなくて、社内の共通言語は「クリエイター」。CREOK(クレオク)の社名自体が「クリエイティブ」と「コマース」の造語で、「CREOKにお任せいただければ全てOK」というところから来ています。それだけクリエイティブを重んじるカルチャーがあります。
ライブ配信って、そのライブ配信ルームの世界観を作っているんです。クリエイターはその「顔」。ただ、皆さんが思っているほど楽な仕事ではない。常にテンションを保って話し続けなければいけないし、極論、同時接続が1〜2人しかいなくても、何百人・何千人いるつもりで話し続けなければならない。メンタル的なスキルとコミュニケーション能力が非常に重要です。
なので方向性で言うと、いわゆるインフルエンサー系のライバーよりも、イベントスタッフや量販店の販売員のような、日頃からお客様とのタッチポイントが多い方の方がマッチする傾向があります。トークが日常的に身についている方ですね。
「体ひとつで起業する感覚で来てほしい」。クリエイター育成とパートナーシップ

ーー売れるクリエイターはどうやって育てているのですか。
我々はクリエイターをパートナーとして見ています。「利用する」「使う」という考え方ではなく、共に作り上げていく。なんなら、クリエイターさんには体ひとつで我々と一緒に「起業する」ぐらいのマインドで来ていただくのがベストだと思っています。
ノウハウは我々が持っているので、それを落とし込みます。定期的に基礎研修をやります。商品がなければ我々から商品を提供し、設備・場所がなければ全て提供する。その上で、お互い成長したらレベニューシェアしましょう、という形です。ある意味、クリエイターとのパートナー契約なんです。
ーークリエイターが一番困るのはどんなことですか。
毎日一生懸命配信して、動画も自分で作って編集もする。さらに物を売るとなると仕入れ先やサプライチェーンの構築も必要になる。これは1人でできる話ではありません。なので、クリエイターさんは配信だけにフォーカスしてもらって、あとは我々の舞台裏で全部支えますよ、という体制です。
ーー配信のノウハウについて、もう少し詳しく聞かせてください。
配信も結局「構成」なんです。その構成に加えて、アルゴリズムのメカニズムが分かっていないと成り立たない。どのタイミングでフックをかけて、どのタイミングで目玉商品(ヒーローSKU)を紹介して、どのタイミングで粗利の取れる商材を差し込むか。全部意味があって組まれているんです。
……これ以上は有料版ですね(笑)。
ーー初心者から売れるクリエイターになるまで、大体どれぐらいの期間がかかりますか。
業界自体がまだ1年経っていないのですが、弊社の既存メンバーで言うと、もう3ヶ月で皆さんプロレベルになっています。先日、某大手代理店の方々がCREOK LABに見学にいらした際、ちょうどCreok Farmのクリエイターが配信していたのですが、「こんなに喋れないとダメなんですね」とおっしゃっていた。実はその子、まだ入って3ヶ月ぐらいなんです。
ーーたった3か月で。
ただし前提があります。どれだけバイタリティがあって、どれだけハングリー精神があって、どれだけ時間を費やせるか。3ヶ月の間に「今日はお腹が痛い」「明日は行けない」という状態では、とても成り立たない。やる気があって、かつ「このアーリーフェーズだからこそ頑張ろう」「今のうちに一旗上げよう」というマインドの方が、我々が望ましいと思うクリエイター像です。ライブ配信の経験がなくても問題ありません。
「15分で8億円」。スーパーコマーサーの時代と、CREOKの野望

ーー「3年でIPOを目指す」と公言されていますが、その先にどんな会社像を描いていますか。
「3年でIPO」はゴールではなく、あくまでマイルストーンの1つです。言葉だけ捉えるとおこがましく聞こえるかもしれませんが、我々は他の国々のデータを見てきて、それだけ爆発的に成長するプラットフォームだと認識しているからこそ言えることです。むしろ「それぐらいやらないと、やっている意味がない」という感覚ですね。
3年後に実際IPOするかはまた別の話で、そのタイミングで「IPOする意味ないね」となるかもしれない。あくまで1つの計として、IPOできるぐらいの規模・数字を3年で作りましょう、というのが目標です。
ーーその先に見据えているものは?
グローバル進出です。TikTokの立ち上げ当初、「TikTokを通して世界を知る」というスローガンがありました。TikTok Shopは今は日本国内で完結していますが、将来的に間違いなく越境ECのサービスが開通されるはずです。そうなった時に、我々が取り扱うものは日本マーケットにとどまらず、グローバルに展開できる。
ステップとしては、まず日本の主要都市、東京・大阪・福岡・北は札幌にCREOK LABの拠点を設けて、次にアジア進出、最終的にグローバル進出という段階を踏んでいきます。

ーークリエイターの育成戦略として「スーパーコマーサーの創出」を掲げていますが、スーパーコマーサーとはどれぐらいの規模感なのでしょうか。
日本にはまだ誕生していないので中国の話になりますが、中国のスーパーコマーサーは出演15分でインセンティブが日本円にして8億円でした。
ーー15分で8億円。
もちろんマーケット環境も規模も違いますが、日本でもどれだけ控えめに見積もっても10分の1規模のスーパーコマーサーは見出していけると思います。つまり、15分で1億弱のインセンティブが入るようなクリエイターが日本にも生まれるだろうと。3年後には間違いなくできます。逆に、3年後にスーパーコマーサーを創出できなかったら、ビジネスとしてはかなり遅い感覚です。
ーー今年の年末、日本のライブコマース市場はどうなっていると予測しますか。
プラットフォーム自体が1年を通して普及期を過ぎたフェーズになるので、いよいよ本格的にキャズムを超えたぐらいのタイミングになるのかなと。今まで見てきたデータでは、キャズムを超えた次のジャンプアップで平均GMVが5倍に跳ね上がっています。日本も今年の下半期から年末にはそれぐらいのタイミングになっているのではないかと思いますね。
「競合もウェルカム。まずは業界を大きくしないと」

ーーCREOKは競合他社もウェルカムでセミナーを開催するなど、業界全体を盛り上げるスタンスを取っていますね。その理由を教えてください。
これを言うと「明日からうちの競合に行こう」と思われるかもしれませんが(笑)。僕の考えとしては、まずは業界を盛り上げる、市場を大きくしないといけないということです。
海外でバズって「ビッグウェーブ」と言われるものが日本に入ってきた途端、さざ波になって消えていく。そういうパターンをもう五万と見てきています。我々は最初からこれだけ投資しているので、それだけは避けたい。だから定期的にセミナーや講座を開催して、競合他社もクリエイターもセラーもブランドもAgencyも、TikTok Shopに興味がある方であれば誰でもウェルカムという体制にしています。
去年の10月にはByteDance側と共催でByteDanceのオフィスで講座をやらせていただきました。それが大好評で、今年の1月にもCREOK LABで第2回を開催しています。講座の中身も、中国でスーパーコマーサーを多数創出しているアカデミーのカリキュラムと同じものを凝縮した内容です。2日間、朝から晩までみっちり学校のように勉強していただいて、即日使えるレベルのものを提供しています。

ーー最後に、ライブコマースに興味を持っている企業やクリエイター志望の方に向けてメッセージをお願いします。
今がまさに絶好のチャンスです。業界自体がまだ1年経っていない。このアーリーフェーズに飛び込める人が、3年後・5年後に圧倒的なポジションを取れる。それを理解できるかどうかだと思います。
クリエイターさんは配信経験がなくても全く問題ありません。ハングリー精神があって、このチャンスに賭けてみようという方であれば、3か月で結果を出せる環境は我々が用意します。企業の方も、まず一歩踏み出していただければ、いかようにもご提案できます。CREOKは、そのための「インフラ」ですから。

TikTokとLark「2つの0→1」を経た元ByteDance執行役員が語る、”集大成”としてのライブコマース|CREOK CEO 桜井吉男〈独占インタビュー・前編〉
〈インタビュー〉CREOK CEO 桜井吉男(中編)|「日本は世界17番目」TikTok Shop市場の実態と、企業が今すぐ知るべき参入の勘所
〈企業情報〉
株式会社CREOK:https://creok.co.jp/
所在地:東京都江東区毛利2-9-20 4F(JR総武線・半蔵門線「錦糸町駅」徒歩8分)
設立:2025年7月 / 資本金:1億円(資本準備金含む)
クリエイターのお問い合わせ:
企業のお問い合わせは:info@creok.co.jp
桜井氏 プロフィール

桜井 吉男(さくらい よしお)
株式会社CREOK 代表取締役CEO。東京都出身。高校卒業後に中国へ渡り、足掛け18年にわたり日中ビジネスに従事。義烏で国際貿易の総合商社を起業し、日中韓3か国間のノベルティ・販促物貿易を展開。その後フィンテック事業のCEOを経て、2018年にByteDance Japanに参画。TikTokの日本市場立ち上げを主導し、上席執行役員を務める。2022年にはLark日本法人の代表取締役を兼任。20年以上にわたる日中ビジネスの経験と、ByteDanceで培ったデジタル戦略の知見を武器に、2025年7月、TikTok Shopに特化したインフラカンパニー「CREOK」を共同創業。
〈ライブタイムズ編集部〉