
国内最大級のライブ配信アプリ「Pococha」が、この夏初めて開催した『Pococha甲子園 2025』。7月21日、北海道で行われた全国大会決勝で、シンガーソングライターとしても活動する人気ライバー、MiMiが、Crystal Stageで見事1位を獲得した。
冬の祭典「POCO LAND 2024」に続く勝利で、夏冬2大イベント連覇(グランドスラム)という偉業も達成。Pocochaの歴史に、その名を深く刻んだ。
しかし、その輝かしい実績の裏には、長く険しい道のりがあった。「お前は何をやってもダメだ」──。ドクターストップによる活動休止、そして元事務所からの心ない言葉。絶望の淵から、彼女はいかにして、日本一の座へと返り咲くことができたのか。
「ライバルの熱が、私の意地に火をつけた」。そう語る彼女の壮絶な“逆襲”の物語に迫る。
改めて簡単な経歴やライブ配信活動、その他の活動についてそれぞれ教えてください!
愛知県出身のシンガーソングライター、MiMiです。
音楽で成功するために上京し、年間200本ほどライブ活動をしていましたが、体調を崩してドクターストップとなり、活動を休止することになりました。ちょうどその時期がコロナ禍と重なり、活動再開を焦る気持ちとは裏腹に、世の中は思うように動けない状況に。そんな中、療養期間中にPocochaでの配信を始め、気づけば配信開始から4年半が経ちました。
Pocochaでの配信を続けながら、徐々にアーティスト活動の再開準備を進め、2023年4月からはステージでのライブ活動も復活。現在は、アーティスト活動と並行してPocochaでのライブ配信、さらに自身で立ち上げたライバー事務所の運営も行っています。
Q1.Pococha甲子園に向けて、どんな作戦や計画を立てて配信に臨みましたか?
まず、自分がどのランクで出場するかをファミリーの皆さんと話し合い、約1ヶ月半前から詳細なスケジュールを作成しました。
勝負する日と勝負しない日をカレンダーで分け、7月21日までの予定を5月の段階でほぼ確定。そこから逆算して、5月はどれくらい配信を行い、6月、そして予選へと向けて調整していきました。
また、予選開始までにイベントのルールを分かりやすくまとめた画像を作り、リスナーさんに説明して、事前にルールを理解してもらったうえでイベントに挑めるよう準備しました。
もちろん、スケジュールが決まった5月からは告知や声がけも開始。「Pococha甲子園」に向けた予習期間として、リスナーさんと一緒に盛り上げてきました。
リスナーさんの中にも「Pococha甲子園はPOCO LANDに向けての大事なイベントだから全力で応援したい」と言ってくださる方がいて、その言葉が自分自身の覚悟にもつながりました。しっかりと準備し、心を整えてイベントに挑むことができました。
Q2.イベントを通じて得た体験、イベント当日の感情や、入賞者発表の瞬間の気持ちを教えてください!
今回のイベントでは「どれだけ多くの枠と交流できるか」が勝負の鍵だと感じていました。
Pocochaの運営さんも、ライバー同士の交流を望んでいるように思えたので、予選から意識的にさまざまな枠に足を運び、交流を重ねました。このイベントを通して、新しい交流ができ、いろんな縁を繋げられたと感じています。
イベント当日は不安でいっぱいでした。焦りもありましたが、最後は「来てくれる人、応援してくれる人を信じてやり切るしかない」という気持ちで挑みました。
対戦相手が間近で配信している様子を見て、その熱意や姿に胸を打たれ、「この熱意には絶対に負けられない」と思いましたね。
私は中部地区代表として出場していたのですが、2位の発表で「中部地区」と聞いたとき、一瞬2位の方も中部ということを忘れて「は!」と動揺しましたが、すぐに違うとわかって、「じゃあ1位は絶対自分だ」と確信し、喜ぶ準備をして結果を待ちました。
Q3.今後のPocochaでの活動や、ライバーとして次に目指したい目標があれば教えてください。
私は元々、アーティスト活動をより多くの人に知ってもらうためにPocochaを始めました。
配信を続けていると、どうしても配信そのものに意識が集中してしまいますが、本来の目標は「Pocochaから外の活動へつなげること」です。
配信をきっかけにライブ会場へ足を運んでもらったり、アーティスト活動の認知を広げたりと、音楽と配信の相乗効果で活動をどんどん広げていきたいと考えています。
また、アーティスト活動とライブ配信をうまく融合させ、音楽をしながら配信も行い、その配信によってアーティスト活動も活発になる――そんな仕組みをつくりたいという思いからライバー事務所を立ち上げました。
だからこそ、自分自身が「Pococha甲子園」や「POCO LAND」といった大きなイベントで結果を残し、「私」という存在や事務所の存在をより多くの人に知ってもらいたいと思っています。
今後は、事務所に所属するライバーを増やしながら、自分自身も一番の広告塔として前に立ち続け、自身の活動と共に、事務所もさらに大きく育てていくことが、ライバーとしての次の目標です。
Q4.いつも配信を応援してくれるリスナーさんやファミリーはどんな存在ですか?
いてくれないと困る――それくらい、1人ひとりが本当に必要な存在です。
中には「誰かが応援してるから自分はいいや」と思ってしまう人もいるかもしれません。でもそうではなくて、私にとっては本当に1人ひとりが必要で、その応援や言葉、想いにいつも助けられています。
リスナーさんが私を思ってくれる気持ち、応援してくれる心、そのすべてが大切で、1つ1つを大事にしていきたいです。Pocochaもアーティストとしても私が進んでいく道には、これからも一緒にいてほしい。
私にとってライブ配信は、私と皆さんで物語を作り、繋いでいく場所です。
そしてその物語に欠かせない登場人物――それが、私のファミリーであり仲間ですね。
Q5.イベント期間中、一番印象に残っているリスナーさんとのエピソードはありますか?
今回のイベントは、予選・本選・決勝と3段階のステージがあり、無料アイテムの使い方が鍵を握る、特別なルールでした。その中で最も印象に残っているのは、決勝の勝負が決まる大事な1時間半の「イベラス」に、お仕事を休んでまで応援に駆けつけてくれたファンの方が、何人もいたことです。
有休を取って時間を作ってくれたり、仕事の合間にスケジュールを組み込んでくれたり、自分のために行動してくれたことが本当に嬉しかったです。どうしても来られない方もいる中で、一瞬だけでも駆けつけてくれたり、私の知らないところで声をかけて仲間を集めてくれたりしました。ファミリーメンバーの繋がりで、当日に多くの方が集まってくれたことは、本当に感激でした。
Q6.ライバーを始めたきっかけ、配信を始めた当初のこと、現在のライバーとしての活動について教えてください。
アーティスト活動を休止し、療養に入ったのが2020年の1月でした。ドクターストップということもあり、約1年間は活動を休む予定でしたが、半年ほど経った頃から今後のためにと、勉強も兼ねて法律関係の仕事に就きました。
そして、Pocochaでの配信を始めたのが、療養開始から約1年が経った、同年の12月。体調がある程度落ち着いてきたタイミングでのスタートでしたね。
最初は1日に2時間ほどしか配信ができませんでした。2時間以上配信すると体が限界を超えてしまい、熱が出てしまうこともありました。実際に、一度3時間配信した後、高熱で3日間寝込んでしまったこともあります。
療養期間中は歌も歌えず、最初の半年間は雑談だけの配信で、歌わずに「歌えないシンガーソングライター」として活動していました。体調が不安定で、仕事もしていたため2時間以上の配信は難しかったんです。
それでも、配信を続ける中で少しずつ体調も良くなり、応援してくれる方たちの「歌えるようになるといいね」「楽しんで配信を続けてほしい」という声に励まされながら、無理せず続けていきました。
半年ほど経った頃から徐々に歌えるようになり、機材も揃えて、長時間はできないものの、少しずつ歌う配信も始められるようになりました。
歌配信が始まってから、どんどんランクが上がっていき、2021年の11月にはS帯に到達することができました。
最初はS帯を目指してPocochaを始めたわけではありませんでしたが、今後アーティスト活動を再開していくにあたり、自分の活動費や楽曲制作など、いろいろな資金が必要だと考えたとき、S帯に上がることが重要だと思い、目標にしました。
ライバーを始めたきっかけには、もう一つ理由があります。
活動休止前は事務所に所属してアーティスト活動をしていましたが、思うように活動できず、都合よく使われているように感じていました。
自分の夢や音楽への思い、シンガーソングライターとしての作詞作曲の力を、うまく利用されようとしているのが見えて、事務所を辞めたくても、大きなライブを1年後に入れられて辞められないようにされていました。その中で無理に活動を続けた結果、限界を迎えたんです。
事務所の中では存在を見下され、パワハラやモラハラのような圧力を受け、「お前は何をやってもダメだ」と言われたり、「お前のファンは誰もいない、全てメンバーのファンでメンバーの力」と言われたり、他にも様々な嫌がらせやいじめを受け、すごく嫌な思いをしました。
『自分の実力を試したい』、そして自分でファンだと言える人たちを実感しながら増やしていきたいと思い、ライブ配信を始めたんです。
配信は画面に映る自分を通して本当の自分をさらけ出せる場所で、プライベートな部分も隠せないので、事務所にいた時のような「嘘の公式発表」がされても、配信を通して自分を見て信じてくれるファンを増やしたいと強く思いました。
そのため、以前のアーティスト活動のアカウントやSNSはすべてやめて、新しいアカウントを作り、Pocochaも誰にも公表せずに1から始めて、今の関係を築いてきました。
復讐ではなく、自分の実力で見返したい、そしてアーティストとして、かつての事務所の人たちより上に立ちたい、そういう思いが配信を続ける底力にもなっていると思います。
ーー現在の活動について教えてください。
一度体を壊しているので、あまり無理をしすぎないことを前提にしています。
今はアーティスト活動を続けながら、Pocochaでも歌いながら過ごすことを第一に考えています。
Pocochaを始める前のようにたくさんのライブ活動やステージに立つことは今はしていません。年に数回、大きめのライブを企画して行う形です。
ライブでは楽曲を少しずつ増やしていきたいと思っていて、配信をしながら新しい楽曲を制作し、その楽曲をリリースしています。そしてアーティスト活動復帰の周年ワンマンLIVEは、毎年開催していく予定です。
ライバーとしてもアーティストとしても、常に何かしらのニュースをファンの方に届けられるように、そしてそのニュースを楽しみにしながら応援してもらえる。そんな活動を心がけています。
Q7.今回Pococha甲子園にエントリーしたきっかけ、またエントリーに際して「地元」や「ゆかりのある地域」などは意識されましたか?エントリーした地域への思いが何かあれば教えてください。
Pococha甲子園のイベントは、アーティスト活動と直接つながるイベントではありません。
実際に、「Pococha甲子園のイベントがMiMiちゃんのアーティスト活動にプラスになるの?」と聞かれたこともあります。
もちろん直接的には音楽のイベントではないのですが、エントリーを決めた理由は、Pocochaの今年の2大イベントのひとつであり、ここで名前を残すことが大きな宣伝になると考えたからです。
このイベントで名前を刻み、POCO LANDにつなげていくことが、Pococha内で自分を知ってもらう大きなきっかけになると思ったのです。
また、地元やゆかりのある地域の代表として戦いたいという思いもありました。
私は愛知出身なので、中部地区代表として、地元を背負って戦って、名前を残したいという気持ちで中部地区にエントリーしました。
Q8. Pococha甲子園を通して、同じ地域のライバーさんなど、他のライバーさんとの交流はありましたか?
今回のイベント期間中は、普段よりも交流の機会は多かったものの、同じ地域のライバーさんとの交流はほぼできなかったですね。
地域ごとに集める応援アイテムが違っていて、同じ地域のライバー同士で協力するのが難しかったです。
一方で、他の地域のライバーさんたちとは積極的に交流ができました。
また、リスナーさんたちが「外交担当」として私の代わりに交流に行ってくれたり、私は空いた時間にお礼に行ったりと、幅広く交流を広げることができました。
リアル会場では、知っている方や以前から交流のあった方とは話したり写真を撮ったりできましたが、新たに深い交流ができた方はあまりいませんでした。
入賞したことで声をかけてくれた方もいましたが、当日はバタバタしていて、配信も常にしていたため、深い交流はできず少し心残りがありました。
ーー苦しいイベント期間を共に戦ったライバーさんにメッセージってありますか?
本当に手強かったです。
常にずっと1位をキープできていたわけではなく、何度も順位を抜かされて3位まで落ちたこともありました。
でも、皆さんの熱意がすごく伝わってきて、一緒に戦えたことに感謝しています。
競い合えたことも貴重な経験になりました。
また、自分とは違うブロックや地域の方々も応援に来てくださって、甲子園イベントにはエントリーしていないライバーさんやリスナーさんも多く参加してくれました。
その1人1人に直接お礼が言い切れていないのが心残りですが、これから一人ひとりにしっかり向き合って感謝を伝えていきたいと思っています。
今回の「Pococha甲子園」をきっかけにできたご縁を、これからも大切にしていければと思います。
Q9. POCO LAND 2025に向けて、今から意識していることがもしあれば教えてください!
今、私が特に意識していることは、「仲間を増やしていくこと」です。
今回のイベントでは、無料アイテムを通じて、人数の力がどれほど大きいかを強く感じました。
たとえ1人でも応援してくれる方がいるだけで、とても心強いものです。
だからこそ、仲間を一人でも多く増やしながら、私だけでなくみんなで一緒に「POCO LAND 2025」に向けて意識を高めていきたいと思っています。
みんなが同じ目標に向かって、仲間を増やしていく気持ちを持ちながら、冬に向けて進んでいけたら嬉しいです。
Q. 最後にファン、読者にメッセージをお願いします!
一緒に戦い抜いてくれて、本当にありがとうございます。心から大感謝です。
予選・本選・決勝と、約2ヶ月にわたって全力でぶつかってきてくれた皆さんと一緒に戦えたことが、とても嬉しいです。
予選も「何位までに入ればいい」という気持ちではなく、1位を目指して挑んでくださった方もいて、その熱い思いに支えられました。
もちろん、「予選よりも本選、本選よりも決勝」と考える方もいますよね。普通に考えたら、予選で力を使い切ってしまうと後がもたないですし。
でも、皆さんが最初から最後まで全力で戦ってくれて、2ヶ月間走り抜けてくれたおかげで、予選1位、本選1位、決勝1位のトリプル1位を取ることができました。
イベント期間中に出会った方、直前に応援してくださった方、久しぶりに戻ってきてくれた方、ずっと応援し続けてくれている方、すべての方の協力と応援があってこその結果です。
この記録を私と一緒に作ってくれて、繋げてくれて、本当に心から感謝しています。
この記録を大切にしながら、これからもみんなと一緒に進んでいきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
そして、このイベントをきっかけに私のことを知っていただけたら嬉しいですし、興味を持ってもらえたら私も枠のみんなもとても喜びます。
私の枠は「楽しく、温かく、そして強く」を心掛けていているので、初見さんもお久しぶりの方も、枠のみんなで歓迎します。
普段は主にPocochaで配信していますので、「どんな配信なんだろう?」「どんな歌を歌っているんだろう?」と気軽な気持ちで遊びに来てもらえたら嬉しいです。アーティスト「MiMi」のオリジナル楽曲も検索してぜひ聴いてみてください。
最後に一言、「どん底からでも這い上がれる!」
ぜひ配信もLIVEも、気軽に遊びに来てくださいね。お待ちしています!
〈ライブタイムズ編集部〉