
音楽業界の第一線から新たな才能を発掘するボーカルオーディション「THE ARTIST GATE Supported by ColorSing」が始動する。主催はInterline Music。音楽事務所・株式会社コライト(CoWRITE)代表で、作詞・作曲家の杉山勝彦氏が審査員として参画し、歌配信アプリ「ColorSing」を舞台に実施される。
杉山氏は、乃木坂46「君の名は希望」「ごめんねFingers crossed」(第63回日本レコード大賞優秀作品賞)、家入レオ「ずっと、ふたりで」(第59回日本レコード大賞作曲賞)など数々のヒット曲を手がけてきた作詞・作曲・編曲家。グランプリ受賞者には杉山氏本人による楽曲提供・プロデュースから活動支援までが予定されているほか、2位から6位の中から、杉山氏が「この人に曲を書きたい」と感じたシンガー1名が選出される。審査はColorSing上でのライブ配信を通じて行われる。
エントリーの受付は9月30日まで、オーディション期間は10月1日から10月31日まで。なお、本オーディションへの参加にはInterline Musicへの所属が必要となる(詳細は文末の開催概要を参照)。
今回、ライブタイムズ編集部は、杉山勝彦氏と、Interline Music代表・小野寺聡一氏のお二人にインタビューを実施。音楽業界の第一線にいる杉山氏がなぜライブ配信に注目したのか、審査で何を見るのか。そして、ライブ配信を「アーティスト活動の武器」に変えるために何が必要なのかについて話を聞いた。
「マネタイズができてから、キャリアをスタートした」──作曲家・杉山勝彦の原点

ーー改めて自己紹介と、ColorSingと関わり始めた時期を教えてください。
杉山:作詞作曲、編曲家の杉山勝彦です。CoWRITEというライバー事務所の運営もやらせていただいております。ColorSingさんとの関わりは、かれこれ2年ぐらいですかね。
小野寺:Interline Music代表の小野寺です。音楽ライバーの発掘・育成から、プロモーションまでを一気通貫で手掛けている事務所です。
ーー作曲家としてのキャリアはどのように始まったのでしょうか?
杉山:プロを多く輩出している早稲田大学に進み、フュージョンバンドとアカペラのサークルを掛け持ちしていました。ある日、NHKの音楽担当の方が来るパーティーに乗り込み、その場でアカペラを披露したんです。大学生なので怖いものはないじゃないですか。失うものもないし、何もやらないで帰ったら何も起こらない。それで「すいません、大学生です。余興やります」と言って、その場でアカペラを披露したんです。
するとそのNHKの方から「曲、書けるの?」と聞かれ、書けないのに「書けます」と答えて、貯金でレコーダーを買い、説明書を見ながら作って1週間後に送りました。結果、教育テレビで流してもらえたものの、お金は一切発生しないものでした。
そこで「僕がやりたいのは慈善事業ではなくプロの仕事です」と伝えたら、「あんた本当バカだね(笑)」と言いながらも、番組テーマのコンペに声をかけてもらいました。しかし学生がプロと真っ向勝負しても勝てないので、真面目なインストが多い教育テレビの中で目立つよう、番組名を連呼する歌を作ったら「面白い」という理由で採用されました。全国放送だったのでJASRACと個人契約ができ、そこがキャリアの起点です。
ーーその後、ラッツ&スターの佐藤善雄氏にスカウトされたと伺いました。
杉山:大学院を中退してサラリーマンをしていた頃、早稲田祭に佐藤さんが来ると知り、後輩に頼み込んで5分だけ出番をねじ込んで貰いました。そこで「今の曲を書いたのはお前か」と声をかけていただき、アニメ『デルトラクエスト』のエンディングを担当しました。さらに「作曲1本でやるなら大手に行った方がいい」とソニーを紹介してくださり、3ヶ月後に嵐さんの曲が決まって契約に至りました。
ーー順風満帆に聞こえますが、実際はどうだったのでしょうか?
杉山:大事なのは、マネタイズができているかで運命が分かれるということ。教育番組でもらったお金を使わず運用し、機材代と3年分の切り詰めた生活費を作ってから始めました。バイトをせず音楽に打ち込める状態にして、「この資金が尽きたら辞める」と決めたんです。
ここまでお話したことはうまくいった話に聞こえますが、実際は関係者まで含めて200枚ほど作品集を配り、うまくいったのが2枚。100分の1の打率でオーディションを受け続けた結果です。
鍵になっていたのは、マネタイズをしっかり考えて打ち込める状態を作ったこと。そして、オーディションを受け続けたことです。
その意味で、今回のオーディションは理にかなっている部分があります。オーディションを受けながら配信の下地を作り、そこから歌でマネタイズをしていける。今後すごく大事になるポイントだと思います。
オーディションを受けてうまくいくことは、すごく少ないと思うんですよ。ただ、挑戦し続ける癖をつけない限り、永遠にどこにも出ていけない。せっかく頑張るきっかけがあるなら、そこに乗ってみる。一歩踏み出すにはいいんじゃないかなと思います。

杉山勝彦の主な実績 作詞・作曲・編曲家、音楽プロデューサー。株式会社コライト代表取締役。2008年、嵐「冬を抱きしめて」で作家デビュー。乃木坂46「君の名は希望」「ごめんねFingers crossed」(第63回日本レコード大賞優秀作品賞)、家入レオ「ずっと、ふたりで」(第59回日本レコード大賞作曲賞)など数々のヒット曲を手がける。自身も「USAGI」としてメジャーデビューし、アーティストとしても活動。現在は音楽事務所「CoWRITE」を運営し、アーティストプロデュース、楽曲制作、クリエイター育成を手がける。(詳細は公式サイトhttps://cowrite.jp/ を参照)
「すごい音楽より、いい音楽」──楽曲づくりで大切にしていること
ーー数々の代表作がありますが、楽曲づくりで大切にされていることは何ですか?
杉山:職業作曲家はアーティストではないので、「自分の音楽はこれだ」というものをただやるだけではダメだと思っているんですよ。もちろん自分が大好きなものや、バックボーンにある音楽も強い部分ではあるんですけど、それに加えて、そのアーティストの想い。グループとしての方向性や、今どこでライブをやっていて次はどこに向かっているのか。そのフェーズによって、求められる曲やメッセージは変わってきます。
アーティストの想いと、自分がやってきたこと、できること、自分自身の想い。その交わる点を探して、突き詰めて音楽を作る。そこをすごく大事にしている作家だと思います。
ーーその方の人生ごと考えて作られる、ということですね。
杉山:そうですね。僕は「すごい音楽」より「いい音楽」が大事だと思っていて。ストリートライブで大道芸の方は、ものすごく人を集めるんですよ。でも、1回見せたらそれっきりじゃないですか。もちろん、その素晴らしさはありますし、芸はすごいと思うんです。
一方で、ストリートミュージシャンには、毎回3人しか集まらなくても、その3人が毎回来てくれるということがあるんですよ。それは、すごいから聞きに来ているのではなく、いいと思っているから、繰り返し聞きたくて足を運んでいるんだと思うんですよね。音楽の良さは、そこの部分がすごく大きいんじゃないかと思っていて。多少ダサくなる要素があったとしても、繰り返しいいと思ってもらえるものを選びたい。そう考えて音楽を作っています。

ーーご自身も「USAGI」としてメジャーデビューされています。アーティスト側の経験は、今にどう活きていますか?
杉山:ユニバーサルと契約を結んでメジャーデビューをしているんですけど、デビューのタイミングで相方が35歳、僕は32歳だったんですよ。しかも31歳の時に結成して、ストリートライブから始めて。そこから人が集まって契約に至り、その年で一番宣伝費をかけていただいたアーティストとしてデビューさせてもらえたんです。
音楽業界は年齢制限がよく言われますし、確かにオーディションにそうした条件があることもあります。でも意外と、音楽や歌声でちゃんと評価してもらえる世界なんだというのが、その時に身に染みたんですね。可能性はずっと開かれている。それは今でも思っています。
例えば一般的に「もう年齢を重ねているアーティストだから」と見られる人でも、すごくいい声で、まだその声が世の中に知られていないと思えば、僕は可能性があると捉えるタイプです。自分自身、そうやって破ってきた扉があるので。
もう1つは、1組のアーティストが1曲をリリースするということは、3ヶ月、4ヶ月とその曲につきっきりでプロモーションをするということなんですよ。取材で同じ話を1日に15回ほどすることもざらにある。アーティストやアイドルは、短い契約期間や活動期間の中で、その1曲に人生を賭けている。そういう認識があるので、誠意を持って音楽を作っているタイプだとは思います。
コロナ禍で見たライブ配信。「見え方が一番いいと思った」
ーーColorSingを知ったきっかけは何でしたか?
杉山:ColorSingを知る前、ライブ配信サービスを見ていると、歌に真剣に取り組んでいる方のチャンネルの横で、まったく違うジャンルの配信が行われている、という状況がありました。それ自体が悪いことではないですし、テレビにいろんなチャンネルがあるのと同じだとは思います。ただ、自分の事務所で面倒を見ているアーティストや育てている子に「ライブ配信をやりなよ」と背中を押せるかというと、難しいなと感じました。「音楽と関係のない見え方で損をしたら嫌だな」という想いがあったんです。
そう思っていた頃、知り合いの事務所の方がPocochaさんで活躍されていて、「ライブ配信はすごくいいし、今熱いんだな」という情報は身近なところから入ってきていました。ただ、踏み切れずにいた時に、あるタイミングで「ColorSingというのがあるんだよ」と聞いたんです。
中国では、歌配信のカテゴリが総合型のライブ配信を追い抜いたというデータも含めて、「今後これは絶対にニーズがある」と確信しました。配信のやりやすさも含めて、歌を配信する見え方が一番いいなと思ったんです。あとは、歌好きなリスナーが必ず集まると思ったこともきっかけになりました。
特に、アーティストや歌手になりたいという夢があって、実際のライブをやりたい、オリジナル曲を持ちたいという人がたくさんいます。ColorSingは、それを実現しうるプラットフォームだなと思って、自分の事務所の子たちに勧めるようになりました。収益もちゃんと入り、これで生活していけるかもしれないという状態になった時に、「ちゃんと形にして大々的に運営するのがいいんじゃないか」と決断して、今に至ります。
※Lシンガー:ColorSingで歌配信を行うライバーの呼称。

ーー実際に所属Lシンガーの活動を見ていて、ライブ配信ならではの成長や変化を感じることはありますか?
杉山:所属は20名ほどで、アーティスト活動をしている子が多く、配信だけをやっている子は少ないと思います。僕自身、ライバーのプロでやってきたわけでも、細かいシステムを知っているわけでもないので、アーティスト運営の部分を教えました。デビューしてツアーもやってきた人間なので、ファンをどう連れていくか、という部分ですね。そうしたら、みんなちゃんと伸びて。6人見て、5人はかなり伸びました。
トップクラスでは、月によっては300万円規模になるケースもありました。そこまでいかなくても、生活費の半分以上、しっかりやっている月は完全にそれで食べられるくらい稼げている子も何人かいます。アーティスト活動と並行してもちゃんと成立するということですね。一方で、アーティストがメインの方が、空いた時間に配信して月5万円、7万円を稼ぐケースも結構あります。音楽1本で食べている人が、そういう使い方をしていたりもする。
隙間時間でできて、なかなか足を運べない遠方の人にも見てもらえる。ファンをつないでいく活動としても、有効な手段だと思っています。
ーー特にどんな人にプラスになっていると感じますか?
杉山:初心者の方には多いと思いますね。ある程度の規模でやっている人だと、その見え方を嫌うファンもいる。それは事実としてあると思うんです。なので、そのケアの部分や、あまりにも大きく応援される方がいると他の人が劣等感を覚えてしまうといった点を、シンガー自身がある程度コントロールすることは大事だと思います。
うちのライブハウスでブッキングをしていても、まだお客さんをあまり呼べていない人ほどプライドが高く、斜に構えてしまっていたりするんですよ。でも僕自身、いろんな繋がりでトップアーティストやアイドルと会う機会が多い。トップで活躍している方々ってみんな「人たらし」なんです。世の中的には、才能だけでやっているように見えていても、実際に会うと人間的に魅力的なんです。その部分を、多くの人は知らないんですよね。
考えてみれば、雑誌、テレビ、ラジオといった媒体の人たちが応援しないで、アーティストが一気に世に出るのは難しいじゃないですか。もちろん曲がバズって注目されることはあるかもしれない。でも「この人ってかっこいいよね」と見えるのは、みんなが応援しているからなんですよ。少なくともレコード会社の人は「この人をスターにしよう」「この子は天才だ」という想いがあるから動く。嫌なやつだったら、その勢いは落ちてしまうと思うんですよね。トップにいる人ほど、それを身近な人に対してちゃんとやっているんです。
ライブ配信でも、歌がうまいだけで、ただ歌っているだけでトップライバーになるのはあり得ないと思うんですよね。根本には相互のコミュニケーションがあって、「今日来てくれてありがとう」と名前を呼ぶ。そういうことをやっていないと応援され続けることは難しいと思うんですよ。
僕自身もアーティスト活動をしていた時は、ファンの方の名前や、どこから来ている人なのかを覚えていました。覚えているので、サインを書く時も名前を聞かずに書く。そういう努力をせずに音楽だけで、応援を求め続けるのは無理がある。その下積みの場として、ライブ配信はいいと思います。
歌配信という環境。「配信からライブに来てくれる」という実感
ーー歌に特化した環境で配信することには、どんな違いがありますか?
杉山:カラオケ音源を用意するのはハードルが高いじゃないですか。下手をすると音源から歌だけを違法に抜いてしまうといったことも起こり得て、権利的にもリスクがある。そこをプラットフォーム側できちんと枠組みとして用意していると、三方よしの形になる。リクエストにすぐ応えられる手軽さも含めて、そこがとにかくいいと思うんですよね。
それと、僕がライバー事業を始める時に「配信が好きな人と、ライブに行きたい人は本当に分かれている」「実際のライブには来ないよ」とよく言われていたんです。でも意外と、配信からライブに来てくれているんですよ。「次の目標はこれだから一緒に走っていこう」と、リアルライブを先に打ってから、そこに向かって頑張る姿を見せるようにしていたのもあると思います。もしかしたら、ライブに行き慣れている、誰かを推した経験のあるリスナーが多めなのかもしれません。
小野寺:他の配信プラットフォームを経験している方も意外と多いのですが、話を聞いていくと、歌だからこその環境が理由に挙がります。歌好きのユーザーが多いので、リアルのライブにも来てもらいやすい。弊社が扱っているアプリの中でも、配信者の継続率は一番長いです。顔出しなしのLシンガーは他のプラットフォームだと伸びづらかったりするんですけど、弊社で伸びているのはラジオや顔出しなしが結構多いんです。そこにはすごく可能性を感じていますね。

ライブ配信から「次のステージ」へ。杉山氏が語る本質的な課題
ーーライブ配信で実績を積んだ人が、楽曲制作やデビューなど次のステージへ進むうえでの課題は何だと思いますか?
杉山:一番は、1人あたりの課金額がものすごく大きくなること。これは難しいポイントで、配信者としての成功という意味では、プロフェッショナルとして生活の糧にしている人は稼げた方がいい。それは事実としてあります。ただ、アーティストとしてやっていくとなった時には、どうしてもマスが相手になるんですよね。
アーティスト活動は不思議なもので、例えばクラブイベントには何千万円という席もあるじゃないですか。でも、国民的なアーティストが「1席4000万円のスーパーVIP席です」とやったら違和感がありますよね。やっぱり最前列までは、ほぼ同じ金額のチケットであってほしい。「だからみんなのアーティストなんだよ」という感覚があると思うんです。
同じ現象が配信にもあって、トップにいる人ほど、数人が大きく応援しているというパターンが多いと思うんですよ。それはマスにはなりづらいポイントです。だから本気で上を目指す人は、配信枠をいかに上手くコントロールするかが重要だと思っています。
ーー具体的には、どういう見せ方が理想でしょうか?
杉山:誰だって稼ぎたいとは思います。でも、お金ではなく夢に走るというか、その要素は絶対に必要だと思うんですよね。
例えば「応援してもらった分で、次のライブの演出にしっかり投資するから」と伝える。応援できる経済状況はみんな違うけれど、「みんなの想いを、僕が形にさせてもらうから」「このライブにみんなで来てね」「それを作るために、この配信を今やっているから」という見せ方にして、実際にステージへ還元する。ライブや演出、衣装や美容、機材も含めて、きちんと投資している人からは、ファンもなかなか離れていかないと思うんですよね。安い会場でとにかく稼ぐ、という形にしてしまうと、どうしても見え方の問題が出てくると思います。
配信の中でも、「みんなが応援してくれたおかげでこの機材を手にできた。これでより上のステージを目指していく」という見せ方ができる人は、どんどん上に行くと思います。「一緒に上がっていく」という見え方を作れるか。そして事実として、そういう心根があるか。その部分だと思うんですよね。
ーーCoWRITEでは、そのあたりをどう運用されていますか?
杉山:うちの場合、楽曲イベントで何度か権利を得た子には「もう卒業してね」と伝えています。同じ人に大きな応援が集まり続けて、勝ち続けて曲を書いてもらう、ということはできない仕組みにしているんですよ。それをもって「次のフェーズは自分で頑張れよ」と。理想像を語っているというより、ちゃんとそう言うべきだよな、と僕自身が思っているんです。
「THE ARTIST GATE」はどう生まれたか。オーディション実現までの経緯

ーー今回のオーディションは、どのような経緯で実現したのでしょうか?
小野寺:最初は僕から発案しました。もともとアイドルの曲を作っていただきたくて、ダメ元でメールをしたんですよ。そうしたら返信をいただいて、「じゃあ打ち合わせしましょう」と。
CoWRITEさん側にも課題感があり、もっと新しいアーティストを発掘していきたいという想いがありました。弊社ではボーカルオーディションを数多くやってきたので、そこを掛け合わせて一緒にやりませんか、というところから話が始まりました。6月ぐらいですね。
杉山:本当に最近です。でも、かなりの回数顔を合わせているので、昔から一緒にやっているような感覚はありますね。
ーー杉山さんが参画を決めた理由を教えてください。
杉山:僕自身が現役のクリエイターということもあり、事務所でサポートしていた子たちが、ある程度育つところまではきちんと見ていたんですけど、ずっとそれを続けてはいられない。その部分に詳しい方と一緒にいろんなことができたらいいなという想いと、CoWRITEのライバー事務所自体も何かアクションを起こさないとな、と考えていたところでの、渡りに船でした。
何より、最初にお話しした時の印象がすごく良かったんですよね。ライバー事務所を運営されている方で、ライバー一人ひとりのことをここまで考えている方は少ないイメージがあって。そうでなければ「僕は曲を書くだけ」という関わりになってしまう。でも、どう声をかけたらこう変わった、といったエピソードを聞いても、皆さんタレントやライバーに愛情がある方たちなんだなと感じました。この方たちと一緒にものを作るのであれば、変なぶれ方はしないんじゃないかと思ったんです。
審査で見るのは「この人の音楽を世に出していきたい」と思えるか
ーー審査で特に注目するポイントはどこですか?
杉山:基本はライブスコアなので、1位はリスナーからの評価をきちんと得られた人が獲得する。それはもちろんです。ただ今回は特色として、2位から6位の中から、ポイントの順位ではなく、こちらで実際に声を聞かせていただいて「この人に曲を書きたい」「この人で音楽を世に出していきたい」と思った方を選ばせてもらう、という少し特殊な形をとっています。
6位以内に入るということ自体、ファンへの愛情やコミュニケーションが一定以上なければ難しい。そのうえで、そこから先は声の可能性であったり、この人はここからどうなるんだろうというワクワクを持てる方と、一緒にものを作りたいという想いがあります。
ーーグランプリ受賞者には楽曲提供・プロデュースが予定されています。どんなプロデュースをイメージされていますか?
杉山:これは実は、お答えのしようがないんです。その方に会って話してみないと。遠方の方であればZoomでも構わないのですが、やはり本人の想いを聞かないと、楽曲にしようがない部分があって。
ただ歌を聞いて曲を作るだけではなく、アーティスト活動への移行期にある方なら、これからどう活動していけばいいのかを一緒に考えたい。もちろん、ずっと密に関われるわけではありませんが、その曲を起点に何をやっていくべきかは一緒に考えたいと思います。すでに活動が軌道に乗られている方であれば、その人の未来を聞いて、どういう曲でどこへ向かっていきたいのかを伺って、その手助けができる楽曲を作らせていただきたいですね。
ーー他のアーティストへの楽曲提供と、作り方は変わらないのでしょうか?
杉山:変わりません。アーティストの規模感にかかわらず、これまでもどの方に対しても、同じやり方で一生懸命作り続けてきているので。

ーー楽曲提供のその先のサポートについても教えてください。
杉山:例えばライブをやったことがない方なら、「まずはこの規模のライブを目標にして、その日をこの楽曲のリリースイベントにしたらどうですか」とご提案する。そうした持っていき方をご存じない方もいらっしゃるので。ただ「曲をリリースします」と発表するだけでは、もったいないんです。
「そこまでどう盛り上げていきましょうか」と。例えば4ヶ月後にリリースライブがあるなら、さらにその先、来年の年末にどこまでの規模を目指すのか。だとすれば、その起点になるライブにしましょうか、と。その方の現在地やモチベーションの置きどころにもよりますが、それに応じてご提案もできるかなと思っています。
ーー楽曲がゴールではない、と。
杉山:こういうプライズは、ストーリーのある楽曲だと思っているんですよね。ファンに応援してもらって、その曲にたどり着いて作るわけじゃないですか。それなのに、そこで一度途切れて、だいぶ時間が経ってから「曲ができました」と発表する人も結構いる。応援してくれた人たちの想いをそのまま繋いでいかないと、「もらったからいいや」という姿勢が見えてしまうんです。
本当に感謝しているなら、「次はどうやったらみんながワクワクするかな」「どういう見せ方をしたら喜んでもらえるかな」と考えるはずなんです。会場に来られない人もいるから、最初のお披露目はみんな平等に配信でやるね、と。ではその配信をどう組み立てて、どこにピークを持っていくのか。そこからライブへどう向かっていくのか。THE ARTIST GATEの流れから続くストーリーの延長線上をどう設計するか。そこをちゃんと話したうえで楽曲がある、ということが僕は大事だと思っているんですよね。
楽曲が終着点になってしまっている人が多いと思うんです。ColorSingというプラットフォームからそういうアーティストが出るとしたら、ストーリーを作ろうとする人がいないと無理だと思っていて。今回のオーディションの最初の1人が、そのストーリーをちゃんと描いた人になった。そこまで見届けられたら、僕はいいなと思っているんですよね。
オーディションは、大体やったら終わりなんです。もちろん所属して活動していくとは思うのですが、やりっぱなしのケースは結構多い。そのストーリーが追えていて、例えば次回「THE ARTIST GATE Vol.2」があった時に、その人が登場して、ライブの映像が流れたら最高だと思うんですよね。「こういうきっかけで、今はこういう活動をしています」と言える。そこまでできたら、ライブ配信のオーディションとして新たに作ったブランドに、本当の意味で意義が生まれるんじゃないかと思っています。
ーーInterline Musicとしては、その後のマネジメントをどう考えていますか?
小野寺:ライブ配信のマネジメントは弊社が担当するので、そこを強化していきます。リアルと配信のバランスも大事なので、専属マネージャーをつけて、密にコミュニケーションを取っていく形ですね。

「まだ知らない声」を探している
ーーどんな人に応募してほしいですか?
杉山:やはり、まだ知らない声ですね。もちろん、今から配信を始めて1等賞を取るのは至難の業だと思います。アーティスト活動をしっかりやってきて、キャリアもファンもついている人でないと難しい。それは正直なところです。
ただ、まだ挑戦したことがない人にも、たくさんトライしてもらいたい。ここから音楽活動が始まる、第一歩の人の声も聞いてみたいですし。そこから6位に食い込んで曲を手にする、というシンデレラストーリーが生まれたら、本当に面白いなと思います。
もちろん、他のプラットフォームで歌を頑張ってきたという方も大歓迎です。とにかく歌が好きで、ピュアな夢を持っている人、音楽の夢がある人に参加してもらえたら。そういう人と語り合って、音楽を作って、その先のお力添えができたらと思っています。
小野寺:配信に抵抗がある方はアーティストに多いので、その最初の一歩として、このTHE ARTIST GATEに参加していただきたい。また「ColorSingは聞いたことがあるけれど、どんなアプリだろう」という方も結構多いと思うので、オーディションをきっかけに、挑戦してもらいたいです。
「音楽をやっている人なら普通に配信するよね」という時代へ
ーーライブ配信発のアーティストが当たり前になる時代は来ると思いますか?
杉山:僕自身は、そういう人はやっぱり出てくると思っています。先ほどお話ししたようなバランスをきちんと組み立てられる人が。マネタイズという意味では、音楽や歌、パフォーマンスでこれほどしやすいものはないと思うんです。
では、マネタイズができればアーティスト活動がうまくいくのかというと、そんなに簡単ではありません。ソングライティングをするならその習得が必要ですし、ステージパフォーマンスはまた別のもの。マスへ広げていくとなれば、伝えるための言葉も持たなければいけない。それでも、マネタイズは一番のネックだったところなんですよ。音楽を、音楽のまま続けられるかどうか、という部分ですから。
他の仕事をしながら、短い時間でなんとか音楽をやる、ではなくて。その時間でファンを獲得し、マネタイズもして、ファンの熱量も保ち、さらに自分の活動に向けて動ける時間を作れる。ライブ配信がなかった時代と比べて、音楽で食べられている人自体は増えていると思います。そのやり方が当たり前の時代になっていけば、そこからアーティストも絶対に出てくると思っているんですよ。
配信をやりながらアーティストになるのか、配信プラットフォームから出てきてアーティストになるのか。形はいろいろあると思いますが、もっと自然なものになるんじゃないかと。音楽活動をやっている人であれば「普通、配信するよね」というくらいの時代が来てもおかしくないと思っています。

小野寺:ライブ配信を通じて活動資金をつくり、その資金を活用してほかの媒体でプロモーションを展開していく。そんな流れは、これからますます広がっていくと思います。
そして、アーティストが自身の歩みを振り返ったときに、「ColorSingから活動を広げていった」と胸を張って言える。ColorSingには、歌に特化したプラットフォームだからこそ、そんな存在になれる可能性があると感じています。
今後も成長が期待される市場ですし、大きな企業や音楽業界との提携も含め、これからどのような広がりを見せていくのか楽しみです。音楽業界に新しい選択肢や価値を生み出す存在になっていくことを期待しています。
「せっかく歌が好きという想いがあるなら、僕のところまで届けてほしい」
ーー最後に、「歌で生きていきたい」と願うすべてのシンガー・ライバーへメッセージをお願いします。
杉山:歌が好きという想いは、何にも代えがたいものだと思うんですよね。しかも今は、カラオケで友達に聞かせるだけでなく、不特定多数の人に聞いてもらえるチャンスがある。さらに言えば、こうした楽曲提供のイベントを通じて、プロの活動に近づいていける。本当にチャンスの多い時代だと思います。
でも同時に、参入障壁が下がって誰でも気軽に挑戦できる時代になったからこそ、埋もれてしまうことも本当にあると思っていて。だから僕らの側からも探しに行こう、という想いでTHE ARTIST GATEが誕生しました。ただ、門があっても、そこを通ろうとする人がいなければ僕らもやりようがない。
せっかく歌が好きで、それを人に聞いてもらいたいという想いがあるのなら、ぜひ今回、その想いを響かせて、リスナーを魅了して、僕のところまで歌を届けてくれたら。本当に嬉しく思います。
小野寺:歌手を本気で目指している方はもちろん、今は子育てや仕事に専念されている方、年齢や環境を理由に夢を諦めかけている方にも、可能性は開かれていると思います。
ライブ配信なら、場所を選ばず、顔を出さなくても歌を届けることができます。これまで知らなかった自分に出会い、新しい可能性を広げていける場所でもあります。
「今からでは遅い」と決めつけず、歌が好きという気持ちを大切に、ぜひ一歩を踏み出してほしいですね。その挑戦から、思いがけない未来が始まるかもしれません。

「歌で生きていきたい」という想いを、次のステージへ──。杉山勝彦氏とInterline Musicは、ライブ配信という場所から、新しいアーティストが生まれる道筋を作ろうとしている。
「THE ARTIST GATE Supported by ColorSing」開催概要
Interline Music主催、CoWRITE・ColorSing連携によるボーカルオーディション。ColorSing上でのライブ配信を通じて、ライブスコアによる順位に加え、2位〜6位については歌声やアーティストとしての将来性などを杉山勝彦が審査する。
なお、本オーディションへの参加には、インターライン・ミュージックへの所属が必要となります。
エントリー期間:8月26日〜9月30日
オーディション期間:10月1日〜10月31日
グランプリ特典:杉山勝彦氏による楽曲提供・プロデュース
オーディション枠(2〜6位):杉山氏が「この人に曲を書きたい」と感じたシンガー1名を選出
グランプリ受賞者には、楽曲提供・プロデュースに加え、本格的なアーティスト活動支援、音楽制作・育成サポート、ライブ・イベント出演機会の創出など、デビューに向けた総合的なバックアップが提供される。
「THE ARTIST GATE」エントリーはこちら:https://line-crm-worker.carveout.workers.dev/r/51s9dj
〈ライブタイムズ編集部〉
