
国内最大級のライブ配信アプリPocochaで、ライバーにとって最高峰の称号の一つ「マンスリーランキング 1 位」。2025年3月、その座に初めて名を刻んだのが “お笑い芸人 × ライバー” クロヤナギコウジ だ。
コロナ禍で仕事を失い、借金まで抱えた彼が「生きるため」に始めた配信。「Pocochaで人生を変えていただいた。」と語るクロヤナギコウジが、月末にマンスリー1位の挑戦を決めた理由、支えとなったリスナーへの感謝、そして次の目標”コアファン2,000人”。
負けっぱなしの人生で浴びた屈辱の言葉を糧に、地獄から這い上がった芸人ライバーのリアル。成長を狙うライバーも、クロヤナギコウジを担ぎ上げたファンも必読のインタビューだ。
改めて自己紹介をお願いします
Pocochaライバーのクロヤナギコウジと申します。よろしくお願いいたします。普段は本当にたわいもない雑談が中心で、リスナーさんはおじさん世代が多く、区役所の待合室のような雰囲気で特に内容のない話をしています(笑)。
マンスリー1位を目指したきっかけと覚悟
マンスリーランキング1位を目指そうと決意したのはいつ頃ですか?きっかけも教えてください。
マンスリーランキングを意識したのは、本当に月末でした。僕は5年間、一度もマンスリーを取ったことがなく、ここまで来たことがなかったんです。唯一のチャンスは、初めてマンスリー20位になりかけた時でしたが、そのときは1週間のBANを受けて達成できませんでした(笑)。
今回のラスト2日間は、ほぼ寝ずに配信しました。寝たら抜かれるんじゃないかと思い、詰めの甘さで順位を落とすのが嫌だったからです。それでも、マンスリーはライバーが「取るぞ」と言って取るものではないと思っていて、リスナーさんが「ここまで来たのは初めてだから取らせてあげたい」と気持ちを熱くしてくれた結果だと感じました。ライバーは神輿の上に担がれる存在であって、「担げ」と命令するものではありません。今回は、僕を神輿に乗せていただいた。そんな感覚でした。
1位を目指すための努力と戦略
実際に1位を目指し始めた時、どのような準備や戦略を立てましたか?
毎日来てくださる方はマンスリーの順位まで把握しているのですが、たまに来る方にとってはさほど意識するものではありません。そこで「今回、初めてマンスリー1位になれそうなんです」と意図的に繰り返し伝えていました。
「いつPocochaを開いても配信していますね」と言われるほど、見せるしかないと覚悟し、イベント期間中もずっと配信をしていました。その後の約2週間も、ほぼ毎日配信していました。
イベントが終わってもなお配信を続けていたものの、私は他のライバーさんのように熱量が目に見えやすいタイプではありません。若い方のように叫んだり、音楽に合わせて盛り上げたりするわけでもないので、自分でも「どうしてマンスリー1位になれたのだろう」と思っています。
本当にリスナーの皆さんのお力のおかげです。
マンスリー1位への挑戦とプレッシャー
マンスリー1位を目指す中で、どのようなプレッシャーを感じましたか?
僕はずっと負けっぱなしの人生だったので、「1位になる」と口では言いながらも、どこかで「無理なんじゃないか」と感じていました。そのためプレッシャーはゼロでした。これまで5年間、マンスリー1位を本気で狙ったことが一度もなく、「本当になれるのかな」と思いながら、リスナーの皆さんに誠意を示すには配信を続けるしかないと思い、ひたすら配信を続けていました。
下から追い上げてくるライバーには「早く寝ろ」と思いながら、プロフィールに「マンスリー1位目標」と書かれているライバーを見ると怖さを感じました。「どこまでやってくるんだろう」と不安で、朝起きると差が一気に縮まっている、そんな何日間でした。追い上げられる恐怖は常にありました。
特に苦しかった瞬間があれば、それをどのように乗り越えましたか?
苦しいというか、配信を付けても5分人がいない瞬間もありますから。やっぱり僕も5、6年やっているので、リスナーさんも長いんですよね。なので別に飛び込んでこないんです。おじさん同士ですし。そういう時に「足並みが揃っていないんじゃないかな」と自分の中で思ってしまって。そこに不安もあるんですけど……結局みんな、ただ眠たいだけなんですけどね(笑)。
深夜配信なんて、みんな年を重ねてきていますから。イベラスの24時もそうですけど、「起きているかの確認」になるんですよ。一番恥ずかしいのが「マンスリー1位になれそう」という場面。今は1位になった後なんですけど、「どんな人が1位なんだろう?」と見に来る人もいるんです。その時にマンツー(一対一)になる可能性があるじゃないですか。期待して来てくれたリスナーさんがいるのに、その状況は申し訳ない。だから、言いやすい方々には「カッコつけさせてほしいから、早く来て!」とお願いしています。
なので、苦しいと言えば正直あまりないんですが……体ですね(笑)。腰を痛めてヘルニアにもなったので、座り過ぎで(笑)。
目標に向かう上で、どんな方法で自分を奮い立たせましたか?
奮い立たせる方法はあります。5年間続けてきましたが、「売れていないお笑い芸人が配信を始めた」と、コロナ禍にはかなりいじられました。「最近いつお笑いの仕事をしたの?」「おじさんなのにS帯」なんて言葉も浴びせられて、そういうのを僕は一生忘れません。その憎しみを思い出し、「ざまあみろ」と言いたくて頑張ってきたんです。だから、1位になった瞬間は心の中で中指を立ててやりました。
実際に1位を獲得して感じたこと
実際に1位を獲得した瞬間のお気持ちは?
「報われた」っていう気持ちが1番大きいかもしれないですね。
この5年間、僕は一度も休んだことがないんです。ほかのライバーさんは1週間、2週間と休む方も多いじゃないですか。でも僕にはそれが一度もなかったんで、ようやく“実った”という感覚があります。
クロヤナギコウジさんにとって、応援してくれるリスナーの存在はどれほど大きなものでしたか?
僕なんて、もう全体重をリスナーさんに捧げています。人と人とのつながりでリスナーさんが増えていった、そんなイメージですね。
マンスリー1位を獲得するまでの期間で、自分自身に起きた変化はありますか?
僕自身は、何も変わっていません。イベント7日間で1位を取った月だったんで、競輪で言えばウイニングランの勢いのまま、コースをもう一周走り切ったような感覚です。
1位を獲得した今だからこそ言える「トップを目指す上で最も大切なこと」を教えてください。
もう一度「1位を取れ」と言われても、絶対無理だと思います。まったく予期していないときに、ふっとチャンスが舞い込んできた、そんな感覚です。だからこそ言いたいのは、「継続しなければチャンスは来ないぞ」ということです。
本当にリスナーさんとの巡り合いでした。謙虚にリスナーさんと向き合うことが大切だと思います。
僕自身、配信では深々と頭を下げるタイプです。
「ライバーは何も偉くないぞ」って言いたいですね。
リスナーさんの方がすごいと思っていますし、リスナーさんがいてこそです。
最後に
ライブ配信での目標は?
ライブ配信での目標は、コアファン2,000人です。
Pocochaでは、1か月でコアファン1,000人に到達する人もいますが、2,000人を達成した例は僕の記憶にありません。だからこそ、2,000人を集めてマンスリー1位を取って「ドヤッ」ってやりたいんです。
コアファンは毎月増やし続けなければなりません。ベースが1人減ったら2人増やす、数字を戻すにはそれくらいのイメージが必要です。そこでリスナーさんには「2,000人に届くまで付き合ってください、通ってください」とお願いしています。
正直、Pocochaだけでは今の数字が僕の限界だと感じています。そこで、Pococha以外のプラットフォームにも動画を投稿しています。この他媒体で結果を出さない限り、Pocochaの数字も伸びないと思っています。
最終的な夢を教えてください。
お笑いの賞を獲ることです。Pocochaを交えるならば、“葬式配信”をして永久BANで幕を閉じるくらいが面白いんじゃないですか(笑)。「伝説」になりますし。
僕はPoochaで人生を変えていただいたので。お笑いもSNSも、そして日々の生活さえも。2020年のコロナ禍でバイトも舞台もすべて失い、3社からの借金を抱える、まさにどん底からのスタートでした。地獄から這い上がる思いで、生きるために配信をしていました。
当時、InstagramやTikTokのフォロワーは400,500人ほど。その頃、キャバ嬢さんの動画がタイムラインに良く流れていて、「キャバ嬢あるある」をネタにした動画を投稿したら、みんながストーリーズで拡散してくれたおかげで1,000人、1万人と増えていきました。Pocochaをきっかけでキャラクターが誕生したので。
ほかの配信プラットフォームへ移る人が多い中、僕は今でもPocochaに頭が上がりません。恩しかないんで。
「もうテレビの時代じゃない」という声もよく聞きますが、まだテレビに出ていない人が言うのは違うと思っています。タワーマンションに住んだ人が「タワマンは良くないよ」と言うのと、想像だけで否定するのは全く違います。なので僕は、テレビにも出たい。「テレビの時代じゃないよね」と胸を張って言えるくらい、テレビに出演してみたいんです。
最後に、応援してくれたファンや視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
みなさんいつもありがとうございます。僕の人生を最後まで見届けてください。
ぜひとも死ぬ瞬間まで配信に通っていただけたら嬉しいです。
葬式来てね〜!
〈ライブタイムズ編集部〉