5月16日にフジテレビ系で生放送された「THE SECOND~漫才トーナメント~2026」でトットが優勝を果たした。『M-1グランプリ』では苦汁をなめ続けた“劇場番長”がついにタイトルを手にした瞬間でもあった。

全漫才師が目指すM-1では一度も決勝進出することはならなかったが、ザ・セカンドでは二度目の挑戦でグランプリファイナルに進出し、優勝をさらった。それは彼らがコツコツと磨いてきた漫才道に間違いはなかったことを雄弁に示す。
昨年、トットの2人にお話を聞く機会があった。そこでは自分たちの強みとして「“良い喧嘩”ができる」点を挙げていた。2人は高校の同級生同士なので、背景を感じさせるような掛け合いができ、それが漫才に昇華していると。
まさしくセカンドで見せた漫才、特に1回戦・準決勝で見せた2本はその典型だった。1本目は「現金」、2本目は「タバコ」を焦点に多田智佑と桑原雅人が言い合い、次第に桑原が詭弁に逸れていくという構造だ。
多田はツッコミ、桑原はボケという立ち位置だが、今回のネタに関してはそれぞれが正しいと思っていることをぶつけているだけ。そのため、ツッコミやボケといった役割を超越し、言い合いに転じている。その流れはあまりに自然で台本を感じさせない。結果としてツッコミとボケの境界は曖昧になり、会話は自然な言い合いへと変わっていく。
ここで効いてくるのが6分という尺だ。
現在、若手でしゃべくり漫才のトップを走るエバースとも通ずる点を感じられたが、ことセカンドに関しては4分ではなく6分の漫才を求められる。したがって、これまでの大会で各コンビはつかみを長めにしたり、自然に2本のネタをつなぎ合わせる構成も採ってきたが、トットは違った。
必要以上につかみをすることなく、すぐにネタ振りに入り、前述の現金やタバコといったテーマを提示する。それから互いの言い分を交互にぶつけ、最終的には桑原が若干おかしな方向に進んでしまう。
言い換えれば、「起」を最小限に抑え、「承」と「転」に時間を使う構成。その積み重ねが、観客に確かな満足感を与えた。293点、292点というハイスコアは決して偶然ではない。桑原は以前「6分をできる人が強い。僕らとしてはむしろありがたい」と語っていたが、その言葉の正しさが、この大会で証明された形だ。
トットのこれからはどうなるだろう。2人ともシュッとしているが、打ち解けて話していると少しだけ変わってもいる。ニューヨークのYouTubeチャンネル出演時にもすでに後輩の2人に散々いじられていたが、それがテレビの世界でどう花開いていくのか。主戦場は舞台となるはずだが、それぞれのキャラクターがどのように広がっていくのかこれからの活躍に期待だ。
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〈ライブタイムズ編集部 / 文:まっつ〉※本記事は分析・考察を含むコラムです。