
保険会社の同期2人で結成したライブコマースユニット「ちいひよ」。前編では、2人の出会いから、ライブコマースとの出会い、そして苦闘の日々をたどった。
後編では、配信の現場で2人が磨いてきた“売る技術”——スクロールを止めるための工夫、売れる商品の見極め、数字との向き合い方——から、日本のライブコマースの現在地、そしてこれから挑戦する人へのメッセージまでを聞いた。
「自分が楽しまないと、お客さんも楽しめない」——配信で大切にしていること
ーー 配信で大切にしていること、視聴者を引きつけるために続けていることはありますか。
芳村:やっぱり、自分も楽しむことですね。辛い顔をしていると、それはお客さんにも伝わってしまうので。商品の魅力を伝えることも大事なんですけど、それ以上に『今いるお客さんをどう楽しませるか』を常に意識しています。
畠山:ここは珍しく2人で一致していて、私は『元気よくやること』なんです。自分が元気だと、相手にも元気を与えられる。大きな声で、表情も豊かに。疲れていたり、いろいろ言われたことがあっても、一旦忘れて、自分らしくやろうと思っています。
「自分が好きなものでも、売れないんです」——売れる商品・売れない商品
ーー 経験から見えてきた、売れやすい商品と、逆に難しい商品はありますか。
芳村:お洋服で言うと、シンプルな商品が売れやすいです。ユニクロやGUが刺さっている理由も、たぶんそこだと思うんですけど、ぱっと見に来る方っていろんな方がいるので、いちばん受け入れられやすいシンプルな商品が売れる。約3年売ってきて気づいたことですね。
逆に、私がめちゃめちゃ好きでも、自信を持って『いい』と思ったものでも、意外と視聴者さんには刺さらなかったりする。だから、自分の好きなものを売るというよりは、『みんなはこれが好きなんじゃないか』といろいろ売る中でインプットして探っていく方が、売り上げは上がりました。
畠山:お洋服以外にもいろいろ挑戦しているんですが、スキンケアのように専門知識が問われるものは、資格があるわけでもないので売りにくさを感じます。一方で、専門知識はなくても、情熱や明るさで、アクセサリーなどは結構売れたりする。商品や状況によりますね。
ただ、知識がないと『何の実績もないよね』となってしまうので、“どう知っているように見せるか”も大事だなと、ここ数か月で感じています。
ーー カメラの前に立つ前に、商品を実際に使ったり勉強したりするんですか。
芳村 もちろんします。自分たちが合わないと思ったら紹介はしません。新しい商品を販売する前は、お互いに商品の魅力や良さを徹底的に調べて、ノートにまとめるんです。2人いつも一緒に配信しているわけではなく、1時間ごとに交代することもあるので、私がやった後にチータンがやると、また新しい情報をお伝えできる。
畠山:同じ商品を紹介するにしても、2人の感想や言葉って全然違うんですよ。ずっと同じことを言われるより、いろんな感じ方があった方がいい。そこが逆に強みかなと思います。

「まずは見た目。1日で100万円売れた」——スクロールを止める技術
ーー TikTok Shopのライブは流れが速くて、1〜2秒で手を止めてもらう必要があると言われます。そのための工夫はありますか。
芳村:いっぱいあります。まずは見た目です。たとえば、認知度の高いシャンプーとトリートメントのセットを安く売る機会があったとき、画面にその商品をたくさん並べて見えるようにしたんです。『これ知ってる』とワクワクして入ってもらえるように。バナーも、何パーセントオフか、ぱっと見て分かるようにする。
あと、自分たちの見た目も。シャンプーとトリートメントのときは髪を結ばずに下ろして、サラサラに見えるように工夫しました。その見た目で、1日に100万円くらい売れたので、やっぱりそこがいちばん大事なポイントだと思います。
畠山:1秒は無理でも、3秒見てもらえたとして、その3秒にどれだけ詰め込めるか。できるだけ早い口調で、『これ私のことかも』と思ってもらう。『こういうことに困っている人いませんか、こういう人いませんか』と早口でぎゅっと詰め込むんです。商品の説明を聞く前に、『そういえば私、これで困ってたな』と思ってもらえれば、その場にとどまって聞きたくなるので。
芳村:さらにクロージングをかけるなら、『今しか買えないですよ』と最後に詰め込む。タイムセールをずっと出しておくのではなく、『この時間でしか買えない、何パーセントオフ』と置く。そうすると、『あと3分しかないから試しに買ってみようかな』というところまで持っていける。

「毎日やることに、意味がある」——数字との向き合い方と継続
ーー お2人からは数字への意識の高さを感じます。これからライブコマーサーを目指す人に、売り上げの面でアドバイスするなら?
芳村:私は『継続』だと思います。たとえ視聴数が5人でも、毎日やることにすごく意味がある。誰かは絶対に見てくれているので。ライバーさんと違って、ギフトを飛ばしてもらうのではなく、商品を『いい』と思ってお金を出して買ってもらうのは、すごく難しいことなんですよね。だから最初はそう簡単に売れないし、そこで諦めてしまう方も多い。私は2年やって、やっと自分たちの売りたい商品にも挑戦できるようになってきた。負けじと継続するのがいちばんだと思います。
畠山:数字を追うのって、辛いと思うんです。だからこそ、配信していて『楽しいな』と思った瞬間が1つでもあったら、それが何だったのかを覚えておいてほしい。『こう言われたから売れて楽しかった』という経験をたくさん重ねていく。売り上げと関係ないように思われるかもしれませんが、楽しいと思えないと、数字は追えないんです。
自分が楽しまないと、相手も楽しめない。相手が楽しくなければ買わない。だから売り上げを狙うのはもちろんですが、自分が楽しむ姿勢を忘れちゃいけないのかなと思います。
ーー 「楽しい」という中には、視聴者とのやり取りもあると思います。印象に残っていることはありますか。
芳村:たくさんあるんですけど、お洋服を売っていると、『これ着て今週デート行くんだ』とか、自分のスペシャルな日に、私が売った商品を実際に使ってくれている。それを感じたときは、すごく嬉しいし、幸せな気持ちになります。届いた後の感想をいただけるのも嬉しいですね。
畠山:私は、自分が元気のないとき。プライベートでも仕事でも落ち込んでいるときに、『配信やらなきゃ』とつけると、案外お客さんからのコメントに励まされたり、面白かったりして、逆に元気をもらえるんです。『もうやりたくないな』という時こそ配信をつけると元気になれる。『よし、やるぞ』という気持ちをお客さんからもらえることが多くて、本当に感謝しています。
「楽天やAmazonと並ぶ存在に」——日本のライブコマースの現在地
ーー ライブコマーサーとして、日本のライブコマースはこれからどうなっていくと思いますか。
芳村:日本のライブコマースはまだまだだと思っています。始まったばかりで認知も低く、買う側も『大丈夫かな』と思っている方が多い。これからたくさんの方がライブコマースをやる中で、視聴者さんに認知と信頼を届けられて、『TikTok Shopって楽天やAmazonと並ぶくらいの大きなプラットフォームだよね』と思ってもらえるようになったらいいなと思っています。
畠山:私たちはまだまだ学ぶ側なんです。だから『業界をこうしていきたい』と大きなことは言えないんですけど、これから始める人に対して、売れている人たちが『こうやればもっと安心して買ってもらえるよ』と共有していけるような、横の繋がりがもっとあったらいいなと思います。
「女性向けなら、なんでも売れる人になりたい」——これからの挑戦
ーー 今後、挑戦したいことや目標を、それぞれ教えてください。
芳村:たくさんあります。これまではメンズのお洋服が中心でしたが、最近はレディース向けにも動き出しているところです。私はお洋服やアクセサリー、ファッションが好きなので、それをたくさん皆さんに届けられるように頑張りたい。そして最終的には、どんな人でもライブコマーサーというお仕事ができるように、サポートしていきたいと思っています。
畠山:これは2人で2年くらい前からずっと言っていることなんですけど、私もチャレンジしたい。今はまだ売れていない商材も扱って、最終的には『女性向けのものなら、服でも食品でも化粧品でも、なんでも売れる』という人になりたい。そして、『ライブコマースをやってみたい』と思った方を、サポートできる人になりたいです。私たちもこの2〜3年、本当に苦しいことがいっぱいあったので、辛くなっている人を『大丈夫だよ』と支えられるようになりたいと思います。

「やらない後悔より、やる後悔」——挑戦したい人へ
ーー 最後に、ライブコマースを始めたい・やってみたいと思っている方に向けて、メッセージをお願いします。
芳村:ライブコマースのハードルが高いと思っている方は、まだまだいらっしゃると思います。すごい方を見て、『自分はこうなれないかも』と、挑戦する前から諦めてしまう。でも、その人にはその人の正解があるように、自分のやっていくライブコマースも“正解”にできると思うんです。自分の個性をしっかり出して、自分だけのショップを作り上げていってほしい。私も一緒に成長できればいい。まずは勇気を持って、挑戦してみてください。
畠山:私たちはライブコマースを始めてから、『なんでもっと早くやらなかったんだろう』とすごく思っているんです。だから、今悩んでいる人は本当にもったいない。今日悩んでいて明日もやらなかったら、『昨日からやればよかった』と思う日が絶対に来ます。やりたい気持ちがあるなら、明日じゃなくて今日。あとでじゃなくて今。思った時が始まりの時だと思って、やればいいんじゃないかなと思います。やらない後悔より、やる後悔ですから。


〈前編はこちら〉
ライブコマースユニット・ちいひよ|「言われた通りにやっても、人は見ない」——保険会社の同期2人が“自分たちの正解”を見つけるまで
ちいひよ プロフィール
TikTok Shopを中心に活動するライブコマースユニット。芳村・畠山の女性2人組による。韓国セレクトのメンズアパレルを起点に、女性目線で「男性に着てほしいコーデ」を提案するスタイルで支持を集め、現在はレディースアイテムから日用品まで幅広いジャンルを取り扱う。2026年6月には運用アカウントでの売上1000万円超を達成。株式会社コマースファクトリー所属。
TikTok
BLUE VALENTINE:https://www.tiktok.com/@chiihiyo._
まるばつさんかく:https://www.tiktok.com/@comachi_shopping
会社概要
社名:株式会社コマースファクトリー(Commerce Factory, Inc.)
設立:2021年5月
代表取締役:岡本 駿平
所在地:東京本社/鹿児島支社
事業内容:EC総合支援(楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・TikTok Shop・独自ドメインEC等)、TikTok Shop公認パートナー、クリエイティブ事業 ほか
公式サイト:https://comfactory.co.jp/
〈ライブタイムズ編集部〉