2026年9月8日(火)・9日(水)の2日間、東京・白金台の八芳園で、コマースライバーと企業のマッチング・セミナー型祭典「LIVE COMMERCE FESTIVAL 2026」(以下、LCF2026)が開催された。
来場したコマースライバーは2日間で750名超、出展企業は50社。実行委員会によれば、出展社数は当初想定していた35社を大きく上回った。さらに、会場から行われたライブ配信によるGMV(流通総額)は、2日間で8,000万円を超えたという。初開催のイベントとしては異例の規模と結果になった。

特徴は、商談とライブ販売が同じ会場で同時に動くことだ。出展企業はブースで自社商品をコマースライバーに直接プレゼンし、その場でマッチング。さらに会場からライブ配信を行い、オンラインで実際に販売する。展示会でありながら、売上が立つ場でもある——という設計になっている。初日には、後藤真希、JOY、ゆん、景井ひなが出演する特別オンライン番組も会場から生配信された。
会場には、すでにTikTok Shopで実績を持つ人気ショップライバーから、ライブコマース未経験のライバー、そしてまだ参入していないメーカーの担当者まで、立場の異なる人たちが足を運んだ。ライブタイムズは、その2日間を取材した。
DAY1|八芳園の2フロアが、まるごと配信スタジオに
初日は13時に開場。会場は上下2フロア構成で、左右にメーカーのブースがずらりと並んだ。
印象的だったのは、会場のあちこちからスマートフォンに向かって話す声が聞こえてくることだ。ブースの一角にライトを立て、その場で生配信をしながら商品を販売するコマースライバーの姿がいくつもあった。ひとつのブースで2人が同時に配信していることもある。展示会場がそのままスタジオになっている光景だった。


商談の内容も、名刺交換にとどまらない。気になったアイテムがあれば、ブランドの担当者がその場で成分や使い方まで説明してくれる。ライバー同士が横で相談し合いながら商材を選ぶ姿も見られた。会場を中継した京極琉は「もう中を通れないぐらい人がすごい」と、人だかりを実況していた。

出展ブランドは、美容液やブラシなどの美容アイテム、デリケートゾーンケア、ドクターズコスメ、ウィッグ、飲料と幅広い。LCF実行委員会として主催側から「今回来ているライブコマーサーには史上最安値で」と交渉しているといい、この日限りの特別セットを組んでいるブランドも多かった。
特別番組|「裏側、全部見せます」15分の実演販売で193箱
14時からは、会場からイベント公式TikTokアカウントを通じて特別オンライン番組を生配信。MCをJOYとゆんが務め、特別ゲストに後藤真希、ゲストに景井ひなが登場した。トップライブコマーサーとして、プリンスこうや、京極琉、熊田佳奈も出演している。


番組の目玉となったのが、実演販売企画「目指せ!ミッション達成 ライブインコマース」。プリンスこうやが事前に設定した目標に向けて、その場で15分間の販売に挑んだ。商材は、タイトルスポンサーでもある「霧島天然水 のむシリカ」。売れた数がリアルタイムで表示されるダッシュボードも画面に映し出された。
「本来は絶対に見せない」(プリンスこうや)という数字を公開した理由について、本人はこう語っている。「メーカーさんからすると、結局売れるのかどうかが不安じゃないですか。そこを特別に皆さんにお見せして」。
開始から3分ほどで50箱を超え、スタジオがざわつく。結果は193箱(1箱24本入り)。JOYは「15分で約200箱売れちゃうって、これはメーカーさんにとってもめちゃくちゃ嬉しいことじゃないですか」と驚いた。

メーカーにとっての「結局売れるのか」という問いに、その場で数字で答えてみせた15分だった。番組内では、こうした販売がアフィリエイト形式で成立していること、報酬率をリアルタイムで調整できることなど、ふだん表に出ない仕組みの部分も明かされた。
後藤真希は「rall.+」でブース出展
スペシャルゲストとして登場した後藤真希は、自身がプロデュースするスキンケアブランド「rall.+(ラルプラス)」でブースを出展。「LCF2026、記念すべき第1回目ということでお呼びいただいた」とし、ブランドの準備も兼ねての参加だと語った。
ブランドのテーマは「スローエイジング」。「どうせ年を重ねるなら、ゆっくりゆっくり、ちょっと遅らせながら年を取れたら素敵だなというところから、それに寄り添えるようなスキンケアを作ってみました」と話した。

ピックアップライブコマーサー|異なる入り口から、同じ場所へ
番組には、いま注目を集める3組のライブコマーサーも登場した。共通していたのは、いずれも「専業のライブコマーサー」として始めたわけではない、という点だ。
タレントの城咲仁は、2026年3月にライブコマース「城咲商店」をスタート。毎週月曜から木曜にTikTokライブを行い、20年にわたるテレビショッピングの経験を持つ本人が、バイヤーとして全国から食品や便利グッズを選んでいる。「いい生産者がいて、いいものがあるのに、それがダイレクトに届いていない」。この日は会場の下のフロアで、コラボを含めて2本の配信を行ったという。
ライブコマーサーを目指す人へのアドバイスを問われると、「生産者の人とか、作っているメーカーさんと会うのは大事」と即答した。「命かけて作っているんですよね。それを安易なことは言えない。対等になれるぐらい情熱をかければ、それがみんなに響くかな」。
ライバー事務所「is N’eat(イズニート)」代表の超無課金は、多くのライバーを抱える立場から参加。TikTok Shopが始まる少し前からライブコマースに触れてきたといい、現在はプレイヤーとしてよりも育成側に軸足を置く。
3組目は、保護犬・保護猫の活動を続けながらライブコマースに挑戦しているライブコマーサーの斎藤鷹一。「不幸な子を救うだけじゃなくて、今ペットとして飼われている子たちも幸せになってほしい」。SNSでの発信が譲渡につながる実感があるとし、その延長線上にライブコマースを位置づけていた。

タレント、事務所経営者、保護動物活動家。入り口はばらばらだが、いずれもライブコマースを自分の活動の延長線上に置いている。番組にタレント・インフルエンサーが並んだことと合わせて、この職種が一部の専門ライバーだけのものではなくなりつつあることを示す顔ぶれだった。
会場に集まった人たち|「まだやっていない」層の熱
会場を歩いて感じたのは、参加者の層の幅広さだった。
すでにTikTok Shopで結果を出している人気ショップライバーが足を運ぶ一方で、ライブコマースをまだ経験していないライバーの姿も目立った。ギフティングを中心に活動してきたライバーにとって、ライブコマースは「気になっているが、まだ踏み出せていない」領域だ。その一歩を確かめに来た、という空気があった。会場を回った城咲仁も「駆け出し中の、これからやるっていうライブコマーサーさんもいっぱいいる」と話していた。
メーカー側も同様だ。ブースを構えた企業だけでなく、まだライブコマースを始めていない企業の担当者が視察に訪れていた。ブースでは「どうやって運用しているのか」「どのくらいの頻度で配信しているのか」といった実務レベルの質問が交わされ、売り方そのものを見に来る、という参加の仕方ができるのもこのイベントならではだろう。
つまり会場には、「売っている人」「これから売る人」「売ってもらいたい人」が同時にいた。TikTok Shopというビジネスに関心を持つ人が、立場を越えて一箇所に集まっていたことになる。
そして、その出会いは2日間で完結しなかった。実行委員会によると、企業とライバーのマッチングでは最大200名規模に達したケースもあり、LCF2026をきっかけに初めてライブコマースに取り組み始めたライバーや、そこから実際の販売につながった事例も生まれているという。冒頭のGMV8,000万円超という数字は、その一部が会期中にすでに結果として表れたものだ。




DAY2|実践ノウハウを共有するスペシャルセミナー
2日目は11時から19時まで、セミナープログラムを中心に構成された。初日にブースでマッチングした企業とライバーが、そのまま学びの場に流れ込んでいく形だ。

柱となったのは、トップライブコマーサー同士の対談。配信の組み立て方や商品訴求の考え方、視聴者とのコミュニケーションの取り方が実践ベースで語られた。TikTok Shopで成果を上げている企業(TSP)による講演では、どの商材がライブコマースと相性がいいのか、ライバーとどう座組みを作るのかといった企業側の視点が共有された。

このほか、動画コマースセミナーやメーカーによるナレッジ共有など、実務に直結するセッションが並んだ。初日に「売っている現場」を見た参加者が、2日目にその裏側の考え方を持ち帰る。2日間を通した構成になっていた。
「敵はいない。みんなで盛り上げていく」
2日間を通して繰り返し語られたのは、業界全体をどう育てるかという話だった。
京極琉は「本当に黎明期で、これからって感じです」と現在地を語る。新しい職種は最初、偏見から入られやすい——だからこそ、こういう場が要る、と。「ニッチな職種じゃなくて、これぞ時代の最先端だよというのがこのイベントを通して伝われば、自信を持って自分はライブコマーサーだと言ってほしい」。
プリンスこうやも「僕だけがすごくてもダメなんで。全体で盛り上げていった方がいい」と話し、イベント開催の動機を明かした。「僕らが始めた時は何も知見も人脈もなかった。自分たちで商品を拾ってきたりしていた。そういう悩みを持った方がいたら、こういう場所を設けたらいいんじゃないかと思って」。

2017年からライブコマースに携わってきた熊田佳奈は、開場前に人が並んでいたことに触れ、「業界の方が並ぶって、素晴らしすぎるイベントやなと思って。もう、やめなくてよかったって思ってます」と語った。

ライブコマースは、配信の技術と販売の技術が重なる領域にある。人を集める力を持つライバーと、売りたい商品を持つメーカー。その両者が直接会う場は、これまで意外なほど少なかった。LCF2026は、その接点をイベントとして設計し、「出会う」から「その場で売る」までを一気通貫で見せた。
750名が集まり、50社と出会い、そこから新しい挑戦が始まり、2日間で8,000万円超が動いた。この数字は、ライブコマースが「売れる」ことの証明であると同時に、京極琉の言う「黎明期」の裏返しでもある。初開催でこの規模が出た市場が、次にどこまで伸びるのか。その現在地を測る定点が、ひとつ生まれた。

LIVE COMMERCE FESTIVAL 2026 開催概要
「LIVE COMMERCE FESTIVAL 2026」は、コマースライバーと企業のマッチング・セミナー型祭典。出展企業とコマースライバーの直接マッチング、業界トップによる実践ノウハウセミナー、著名タレント・インフルエンサーによるライブ配信企画を一堂に集めたイベントとして、LCF実行委員会(事務局:JLCA実行委員会)が開催した。
会場では出展メーカーとライバーが直接商談を行い、そのまま会場およびオンラインでライブコマース販売を実施。初日の展示会終了後には、当日のGMV(流通総額)やTikTok Shopでの活動実績などを総合的に評価する「LIVE COMMERCE AWARD」も行われた。2日目には、トップライブコマーサー対談やTikTok Shop成功企業による講演など、実践的なセミナープログラムが組まれた。
名称:LIVE COMMERCE FESTIVAL 2026 / 日程:2026年9月8日(火)13:00〜18:00(表彰パーティー 18:30〜21:00)、9日(水)11:00〜19:00 / 会場:八芳園(東京都港区白金台1-1-1) / 企画:LCF実行委員会 / 出展企業数:50社 / 来場ライバー数:750名
DAY1特別オンライン番組 出演者|MC:JOY、ゆん / 特別ゲスト:後藤真希 / ゲスト:景井ひな / トップライブコマーサー:京極琉、プリンスこうや、熊田佳奈
公式サイト:https://www.livecommercefestival.com/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@livecommercefestival
〈ライブタイムズ編集部〉