TikTok Shopの運営支援を手がける株式会社CREOK(クレオク)が、10月16日(金)、ホテル椿山荘東京で設立1周年の記念発表会「CREOK 1st. ANNIVERSARY – 一周年記念発表会 -」を開催した。
代表取締役CEOの桜井吉男氏は、この1年の自社運用データを初めて公開。あわせて、2つの新しい取り組みを発表した。1つは、ライブコマースの運営ノウハウを全国の企業に提供するフランチャイズ事業「CREOK FRANCHISE(フランチャイズ事業)」。もう1つは、AI時代のライブ配信で「本物の証」を示す仕組みをつくる、シヤチハタ株式会社との共同プロジェクトだ。

1年で累計売上約15億円。配信は1万3,000時間超
CREOKは2025年7月の設立。桜井氏は同社を、TikTok Shopに特化した「インフラカンパニー」と紹介した。TikTok Shopは、TikTokのアプリの中で商品の紹介から購入までができるEC機能で、日本では2025年6月30日に始まった。
「この1年で私たちが何をやってきたかを、丸裸に、正直にお見せしていこうと思います」。そう切り出した桜井氏は、自社で運営する3つのアカウントの数字を紹介した。
配信の実績
同社によると、3つのアカウントはいずれもゼロから立ち上げ、フォロワーは累計17万人以上に上る。「広告で集めた数字ではなく、配信をまた見に行きたいと思ってくださった方々です」という。
累計の配信時間は1万3,000時間以上で、単純計算で約542日分にあたるという。最も長い連続配信は112時間だった。「どの時間帯で誰が見ていて、何が売れるか。こういったことを全てこの中で学びました」と振り返る。
1回の配信では、最大で800万インプレッション、同時接続数1万3,000人以上を記録したとしている。
売上
1回の配信の最高GMV(流通取引総額=配信で売れた金額の合計)は800万円を超えたという。
1年間の累計売上は約15億円(14億9,800万円)と発表した。内訳は次のとおり。
・自社で運営するアカウント:5億7,300万円
・CREOKが運営を支援する連携ショップ:9億2,500万円
連携するブランドは1,000社を超えたとしている。

次の1年は「実証から実装へ」
「TikTok LIVEで本当に売れるのか。自分たちの手と時間を使って出した答えは『売れる』でした」。桜井氏は1年目をこう総括した。
次の1年のテーマは「実証から実装へ」。売れる仕組みを、ほかの企業も当たり前に使えるようにしていくという。「一部の人だけが成功する世界ではなく、誰もが使えるインフラにする。それが次の1年の仕事です」。
桜井氏が挙げた4つの強み
桜井氏は、この1年の成果を支えたものとして4つを挙げた。
1. 立ち上げの経験とスピード:桜井氏はTikTokとLarkの日本での立ち上げに携わってきた。「ByteDanceの1年は外の3年と言われますが、私の肌感覚ではCREOKの1年は外の5年」
2. 海外の成功パターン:桜井氏によると、日本はTikTok Shopが始まった17番目の国。先に始まった16か国の成功例を日本向けに作り直して使う手法を、同社は「タイムマシンビジネス」と呼ぶ
3. 一気通貫の支援:商品の仕入れから配信、運用までを一貫して支援し、一部だけの依頼にも応じる
4. クリエイターの育成:3か月でプロのレベルまで育てる仕組みがあるとする
「日本は世界でも珍しいマーケット」
海外との違いにも触れた。桜井氏によると、米国では2023年にTikTok Shopが始まり、1年で1兆円を超えた。売上の約8割はショート動画から生まれているという。
一方、日本ではGMVの6割以上がライブから生まれているとし、「世界でも非常に珍しいマーケット」と指摘。2028年には国内で1兆円規模になるという予測も紹介した。
そのうえで「この波を東京だけのものにはいたしません」と宣言。東京・錦糸町の配信拠点「CREOK LAB」を、全国の主要都市に広げるという。「競合も含めて業界全体を盛り上げていきたい。市場が大きくなればなるほど、全員にチャンスが広がるからです」。
新事業「CREOK FRANCHISE」

その具体策として発表したのが、フランチャイズ事業「CREOK FRANCHISE」だ。桜井氏は「売る力をそのまま導入していただける仕組み」と説明した。
なぜフランチャイズなのか
桜井氏は、この1年でわかったことを3つ挙げた。
・TikTokのライブは日本でも売れる
・売り方は「型」にできる
・売る人が足りない
「売れる配信は才能や勘ではありません。何を仕入れて、誰が話して、どう配信を組み立てるか、手順として書き出せるところまで来ました」。
桜井氏は、地方にはお米や果物、海産物、工芸品など良い商品が多く、買いたい人もいるが、その間に立ってライブで売る人が足りないと指摘した。
「ライブコマースにおいて一番難しいのは人なんです」と桜井氏。地域には配信できる人がおらず、採用してもすぐに辞めてしまう。それが、地方でライブコマースが広がらなかった最大の理由だと話す。
90日で開業、その後100日は本部が伴走
同社の説明では、加盟企業はCREOKがすでに使っている手順・システム・人材・案件をそのまま使える。桜井氏は、自社でゼロから始めれば成果が出るまで1〜2年かかるとし、「私たちが1年かけて通った道を、加盟店は90日で通り抜けられる」と述べた。
計画では、契約からおよそ90日で本部の案件を使った最初のライブ配信を迎え、開業後の100日間は本部のスーパーバイザーが運営を支える。

加盟店に提供する6つ
加盟店に提供するものとして、次の6つを挙げた。
1. ブランドと公式認定:TikTok Shopの3つの公式認定を持つCREOKの体制での活動
2. 案件と商材:本部の配信枠や商材、大手企業の案件
3. クリエイター:本部が認定した配信者
4. 教育と認定:未経験の社員を運用担当者に育てるカリキュラム
5. AIとデータ:台本づくりや配信の分析の全拠点での共有
6. 伴走支援:開業後100日間の本部による運営支援
このうち2番目と6番目が最も価値が大きいとし、「ツールだけならほかにもありますが、最初の売上を一緒につくる仕組みはほかにはありません」と強調した。
加盟店の認定制度も設ける
研修と実績の条件を満たした加盟店だけが、CREOKのブランドで案件を受けられる仕組みで、認定は毎年更新するという。理由について桜井氏は「1つの拠点の質の低い配信が、全国の加盟店の信用を同時に傷つけてしまうからです」と説明した。
加盟店が払う費用は、月額のパッケージ費と売上に連動するロイヤルティの2つとした。「加盟店が売れなければ本部も伸びない」設計だという。
第1期は全国13拠点
第1期は全国7ブロック・13拠点での開始を予定している。
北海道1/東北2/関東3/中部・北陸2/関西2/中国・四国1/九州・沖縄2
桜井氏は最後に「3つの約束」を示した。
・収益の約束はしない(収益モデルは、前提と根拠ごと開示する)
・法律に定められた手続きを守る
・品質の基準を守る
「ライブコマースを一時のブームではなく、信頼される産業にしたい。それがこの事業の前提です」。
シヤチハタと「本物の証」の仕組みづくりへ
続いて桜井氏は、シヤチハタとの共同プロジェクトを発表した。テーマは「AI時代の本物を守る」ことだ。
桜井氏は、AIによって本物と偽物の区別がつきにくくなっていると指摘し、「偽物を見破る技術をつくるのではなく、本物の側に本物である証を持たせる仕組みをつくったらどうだろうと考えました」と述べた。
紙の時代は印鑑が、デジタルの時代は電子認証が「本物の証」の役割を担ってきた。しかし、ライブ配信の現場で「この人、この声、この配信は本物だ」と視聴者がひと目でわかる共通の仕組みは、まだないという。
実証の場はCREOKのライブコマースの現場とし、CREOKだけの仕組みにはしない考えを示した。ブランドやIPを持つ企業、ライブコマース事業者、プラットフォームと共通のルールをつくりたいとし、「今日を業界の皆様への参加の呼びかけの日にしたい」と語った。

シヤチハタ株式会社 代表取締役社長の舟橋正剛氏は、「なんでシヤチハタがここに来ているんだと思われている方も多いのではないか」と切り出した。
舟橋氏は、同社が印鑑やスタンプ、電子認証などで人の意思や合意の「印」を形にしてきたことを紹介。映像や声がAIで精巧につくれる時代だからこそ、「AIから受け取る情報を信頼して、安心して活用する社会をつくりたい」と話した。
今後は、CREOKのライブ配信で扱う商品やサービス、コンテンツに「これは本物である」という印を付けていくとし、「私どもだけが頑張ってもしょうがない。たくさんの皆様に使っていただき、信頼のインフラにしていきたい」と、参加を呼びかけた。
基調プレゼンテーションの最後に、桜井氏は「AI時代の到来を否定的に捉えているわけではありません。しかし、AIに支配されるのではなく、人の思いや心を大切にしながら、皆様とともに大きな未来をつくっていきたい」と語った。

パートナートーク「AI時代の証(しるし)とは?」
1つ目のパートナートークには、桜井氏、舟橋氏に加え、エヴィクサー株式会社 代表取締役社長CEOの瀧川淳氏が登壇した。シヤチハタとの共同プロジェクトでは、エヴィクサーの「音響透かし」の技術を使う。

形は変わっても、印の役割は変わらない
AI時代に印はどこへ向かうのか。舟橋氏は「形は変わっても、役割は変わらないのではないか」と答えた。
同社は紙の時代からスタンプや印鑑で合意や承認の印を付け、デジタルの時代には電子認証でセキュリティを担ってきた。舟橋氏によると、電子印鑑に印影が表示されるのは、デジタルでも「誰が承認したかがわかる印がないと仕事がしづらい」という利用者の声に応えたためだという。AIの時代には、映像や声、音に「これは本物だ」という印が簡単に付くことが、安心・安全な社会につながると話した。
音に「ハンコ」を押し続ける
見えないところ、聞こえないところに、どう印を入れるのか。瀧川氏は、同社の技術を「音に印を透かす」ものだと説明した。
音響透かしは、人の耳には聞こえない形で、音の中に情報を埋め込む技術だ。配信中は1秒ごとなど細かい間隔で印を押し続け、その配信が本物であることを示し続ける。お札の透かしを音に応用したイメージだという。
聞いている人が「音が変わった」と気づくことがあってはならないとし、「押してあることがわからないのに、本物だという情報は入っている。この辺りが腕の見せどころ」と話した。
印が入っていない部分があれば、切り抜きや改ざん、別のアカウントからの配信だとわかり、アラートで知らせることを想定している。瀧川氏は「日常的には出番がない方がきっと平和。いざという時に役に立つものだと思います」と語った。
CREOKもなりすまし配信の被害に
現場の立場から、桜井氏は同社がすでになりすまし配信の被害を受けていることを明かした。
CREOKではない配信者がCREOKを名乗って配信していたところ、古くからのファンが気づいて同社に連絡してきたという。桜井氏は、企業が被害を受けるだけでなく、視聴者も詐欺などのトラブルに巻き込まれかねないと指摘。本物と偽物の区別がつかない配信は今後さらに増えると見ており、今回の取り組みのきっかけの1つになったと話した。
「疑わなくていい」状態を当たり前に
最後に、この仕組みが当たり前になった世界について、3人が答えた。
瀧川氏は、同社の技術は総務省の実証事業にも採択され、偽情報・誤情報への対策として開発を進めていると紹介。「主役になることよりも、安心・安全が当たり前に、簡単に使えるようになることが大事。安心・安全があってこそのコマースだと思っています」と述べた。
舟橋氏は「作る人、届ける人、受け取る人の三者が、何の心配もなく情報を扱える社会になれば、もっと自由に表現でき、安心して受け取れる。AI時代にも、人と人とのコミュニケーションがより豊かになっていく」と語り、この仕組みをインフラとして育てることが「本当の社会貢献」だとした。
桜井氏は、配信する立場として、人や物、コンテンツが本物であることを保証していかなければならないと強調。この取り組みが業界全体に広がれば、「将来的にはとても素晴らしい社会になっていく」と話した。
パートナートーク「これからのディスカバリーコマースについて」
2つ目のパートナートークには、桜井氏のほか、トランスコスモス株式会社 TikTok Shop推進マネージャーの副島雅広氏、株式会社Offbeat 代表取締役の髙橋健氏、株式会社オークファン 取締役の石丸啓明氏が登壇した。

「探して買う」から「出会って買う」へ
ディスカバリーコマースとは、どんな買い方なのか。桜井氏は、これまでのネット通販は、検索して欲しい商品を見つけ、サイズや色を選ぶ流れだったと説明した。
一方、TikTokは、見る人の興味に合わせておすすめの動画を流す仕組みだ。桜井氏は会場の水を例に挙げ、水に関する動画を一度でも見たり、実際に買ったりすると、関連する商品が自動でおすすめに出てくるとし、「自ら探しに行くのではなく、発見させてくれる流れになっていく」と語った。
パートナー3社がCREOKと組んだ理由
トランスコスモスは2026年4月に、CREOKとの戦略的協業を発表している。副島氏は組んだ理由を「本気度に尽きる」と答えた。
同社は米国や東南アジア、中国でもTikTok Shopの支援を手がけている。副島氏は、日本にTikTok Shopが来た当初は社内を引っ張るのが難しかったと振り返り、「CREOKさんはラボの設立から社員の皆さんの熱意がずば抜けていた。この熱量に乗っかりたいと思った」と話した。
髙橋氏は、CREOKの魅力を「クリエイターさん周りの活動と育成が非常に強いところ」と語った。Offbeatは楽天やAmazonなどで販売する事業者の支援が多く、この10年で消費者の行動が変わったと感じているという。「検索で物を買うのが当たり前だったのが、SNSで推しの人から買ったり、情報を得たりする人が増えた。広告もマスメディアから個人に変わってきている」。
石丸氏は、オークファンが長年、相場の情報を扱ってきたことに触れ、「リユース品とライブコマースの相性は抜群にいい」と話した。同社も自らライブ配信のチャンネルを運営しており、「自分たちでやっているからこそ、CREOKさんの運用のすごさがわかる」と語った。



3社との組み方はそれぞれ
3社と組んで何ができるのか。桜井氏は「表現として正しいかわかりませんが、タイプの違う3人の恋愛相手がいるようなもの」と会場を笑わせ、1社ずつ説明した。
設立1年余りの同社は、大手企業と直接取引をしづらいこともある。トランスコスモスとは、同社が大手企業への窓口を担い、運営や配信をCREOKが担う形を挙げた。Offbeatについては、TAP(TikTok Shop Affiliate Partner)の事業で「日本一と言っても過言ではない」と評価し、商材や仕入れを担う同社とCREOKのクリエイターを掛け合わせるとした。オークファンについては、日本の中古ブランド品が欧州で人気が高いことを挙げた。
そのうえで、TikTok Shopは今は日本の市場だけに対応しているが、「あくまで私の勝手な憶測ですが、将来的に間違いなく越境ECが始まるはず」との見方を示した。
副島氏は、TikTok Shopには1本のショート動画を外国語に変換できる機能もあるとし、プラットフォーム側も世界へ広げる支援を進めていると指摘。髙橋氏も、国内と海外のクリエイターを組み合わせて日本の企業を世界に売り出す動きがあるとし、「1つのプラットフォームで世界中に売れるようになれば、日本の会社が世界中で売れる仕組みができる」と期待を語った。
3年後のディスカバリーコマース
最後に、3年後のディスカバリーコマースについて、4人が答えた。
石丸氏は「越境ECだと思います」と一言。髙橋氏は「正直、3年後はわかりません。毎日必死で」と笑いつつ、「日本の会社がいろいろな場所で売れる仕組みになっていたら嬉しい」と話した。
副島氏は、AIに欲しいものを言葉で伝えておすすめしてもらう買い方が広がる一方で、「言葉にできないニーズにたどり着けるのがディスカバリーコマースの面白いところ」と指摘。2つの買い方は並んで続いていくとし、「自分の気づかないニーズに出会えることが、起こり続けてくれるといい」と語った。
桜井氏は、3年後は「世の中がAIに埋め尽くされているのではないか」と予想。中国ではすでにデジタルヒューマンがライブコマースを行っていると紹介した。それでも、日本の市場ではリアリティが重視されると見ており、「AIに代替される部分はありつつも、本物の人間とお客様とのやり取り、ここは絶対に捨てられないところ」と締めくくった。
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◆「CREOK 1st. ANNIVERSARY – 一周年記念発表会 -」開催概要
日時:2026年10月16日(金)16:00開演
会場:ホテル椿山荘東京 バンケット棟4F「雅」(東京都文京区関口2-10-8)
主催:株式会社CREOK
協力:株式会社グッドウェーブ
登壇者:
桜井吉男(株式会社CREOK 代表取締役CEO、元ByteDance Japan 上席執行役員)
舟橋正剛氏(シヤチハタ株式会社 代表取締役社長)
瀧川淳氏(エヴィクサー株式会社 代表取締役社長CEO)
副島雅広氏(トランスコスモス株式会社 TikTok Shop推進マネージャー)
髙橋健氏(株式会社Offbeat 代表取締役)
石丸啓明氏(株式会社オークファン 取締役)
〈ライブタイムズ編集部〉