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Home»ニュース»「日本は世界17番目」TikTok Shop市場の実態と、企業が今すぐ知るべき参入の勘所|CREOK CEO 桜井吉男〈独占インタビュー・中編〉
ニュース 2026/05/17 15:22⇆2026/05/17 15:43

「日本は世界17番目」TikTok Shop市場の実態と、企業が今すぐ知るべき参入の勘所|CREOK CEO 桜井吉男〈独占インタビュー・中編〉

中国18年、ByteDance 7年のキャリアを経て、TikTok Shop特化のインフラカンパニー「CREOK(クレオク)」を率いる桜井吉男氏へのロングインタビュー。前編では、義烏での起業からByteDance Japan、そしてCREOK創業に至るキャリアの全貌を聞いた。

中編では、TikTok Shopのローンチから約10ヶ月が経った日本市場をどう評価しているのか、先行する海外市場との違い、そしてライブコマースに参入したい企業がCREOKに相談した場合に受けられる具体的な支援内容に迫る。「検索して買う」から「コンテンツで出会って買う」へ。購買行動の地殻変動を、最前線のプレイヤーはどう見ているのか。


TikTokとLark「2つの0→1」を経た元ByteDance執行役員が語る、”集大成”としてのライブコマース|CREOK CEO 桜井吉男〈独占インタビュー・前編〉

「15分で8億円」の世界が来る?スーパーコマーサー創出と、日本ライブコマースの未来図|CREOK CEO 桜井吉男〈独占インタビュー・後編〉


「鈍化は気にしていない」。TikTok Shop、ローンチ10ヶ月の現在地

ーーTikTok Shopが日本でローンチされて約10ヶ月。市場の成長をどう評価していますか。当初の予想と比べていかがでしょうか。

結論から言うと、当初の予想と比べたらちょっと鈍化しているかなという感じはあります。去年の12月に比べて成長率が一旦落ちたのも事実です。ただ、マーケットの成長については、我々も業界他社もメディアも含め、皆さんの見立てとして、2028年までにはTikTok Shop自体が1兆円規模になるだろうと。そこは皆さんが期待しているところです。

ーー鈍化に対する危機感は?

特に気にしていません。これからどんどん浸透していけば、キャズムを超えた時に間違いなく跳ねるはず。今まで見てきたデータでは、キャズムを超えた次のジャンプアップでGMVが平均5倍に跳ね上がっています。日本も今年の下半期から年末にはそれぐらいのタイミングになっているのではないかと思います。

ーー先行する海外市場のデータをお持ちだと思いますが、日本市場ならではの特徴はありますか。

中国・東南アジアは我々の中では同じくくりなんです。東南アジアは華僑の国で中国文化が広まっているので、あまり参考にしていない。購買パターンも違います。むしろヨーロッパや欧米系を見ています。

具体例を1つ挙げると、USマーケットは2023年の10月にローンチされました。TikTokがアメリカで大統領令などいろんなプレッシャーを受けている中にも関わらず、翌年2024年には成長率600%。1兆円を1年で超えているんです。

ーーすさまじい成長率ですね。

ただ、そのGMVがどこから上がっているかというと、実は8割強がショートムービーからの購買なんです。ライブコマースではなく、動画を見て買う。一方で日本はどうかと言うと、国民性として慎重派ですし、信頼性やリアリティを求める傾向がある。ライブ配信を見て、納得してから購入するというパターンがデータとして出ています。

我々はFastMossというTikTok Shop分析ツールの日本正規代理店もやっているのですが、そのデータを見ても、日本マーケットでは現状6割強がライブコマースからGMVが上がっている傾向です。USとは真逆の構造ですね。


「検索しなくていい時代が来る」。ディスカバリーECの衝撃

ーーAmazonや楽天のような従来のECと、ライブコマースの最大の違いは何でしょうか。

簡潔に一言で言うと、お客様とのタッチポイントです。伝統的なECは、問い合わせをしない限り運営側とのタッチポイントがない。例えばジャケットの写真を見ても、このポケットが飾りなのか、ちゃんとポケットチーフが入れられるのかは写真では分からない。でもライブ配信なら、コメントでリアルタイムにやり取りできる。「ポケットチーフ入れられるんだ、じゃあ買おう」と。このタッチポイントの差は圧倒的です。

もう1つ、プラットフォームの特性として、TikTok自体がUGC(User Generated Content)のプラットフォームなんです。ユーザーが自分で商品を試してレビュー動画を上げたり、季節のトレンドに合わせたコンテンツが自然にバズったりする。伝統的なECでは解決できなかった「衝動買い」が、ライブコマースでは起きやすいんです。

ーー「検索して買う」から「コンテンツを見て買う」へ。この購買行動の変化は、日本にどのぐらいのスピードで定着すると見ていますか。

定量的に一概には言えませんが、検索依存率の低下は間違いなく進んでいます。Web1.0からスマホの時代に移っても、「検索しなきゃいけない」のがずっと当たり前でした。でもTikTok上では、アルゴリズムのレコメンデーション機能で、自分が一度でも見たことがある・興味があるものがおすすめで出てくる。自分から取りに行かなくても、欲しい情報が届く。つまり、検索しなくていいんです。

確実に言えるのは、「ディスカバリーEC」「コンテンツEC」。これがTikTok Shopの最大の特徴だということです。商品を探すのではなく、コンテンツの中で出会う。この変化はもう始まっています。


「ホールケーキを用意して、ピースでも売れる」。CREOKが提供するフルスタック型支援

ーーそもそもCREOKはどのような会社で、何を目指しているのでしょうか。

CREOKはインフラカンパニーです。TikTok Shopにまつわるインフラ部分を、フルスタック型でサービス提供できる。分かりやすく言うと、「ホールケーキを用意しています。ただホールだと食べきれないので、切ってピースで売ることもできますよ」というスタイルです。

ただ、私の中で「CREOKってどんな会社?」と聞かれたら、一言で答えるなら「デジタル商社」です。様々な商材を集めて、その販売ツールの1つとしてTikTok Shopに特化している。将来的に別のプラットフォームが出てきたら、そこにも展開する。その時代に合った最先端のものに、ビジネスを乗せていく。あくまで立ち位置はデジタル商社です。

目指しているのは、将来的にCREOK主催のショッピングデーを開催すること。Amazonのプライムデーやブラックフライデーのようなイメージです。ただの販売ではなく、TikTok Shopにまつわるエコシステム、つまり経済圏を全て網羅していく。その先にCREOK主催のショッピングデーが実現できたら、それは1つの成功の形だと思っています。短くて3年、長くても5年でそこまで持っていきたいですね。

ーー企業がライブコマースへの参入を相談した場合、具体的にどんな支援が受けられるのでしょうか。

参入したい企業には色々なパターンがありますが、代表的なのは3つ。「興味はあるけどやり方が分からない」「物は持っているけど売り方が分からない」「売り方は分かるけど売ってくれる人がいない」。CREOKとしては、全てトータルで二人三脚で伴走していく体制を持っています。

TikTok Shopには今、TSP(TikTok Shop Partner)、TAP(TikTok Affiliate Partner)、CAP(Creator Agency Partner)という3つのビジネスモデルがあります。お客様のニーズによって提供するサービスは変わりますが、丸投げのフルスタック型運用代行から、Creok Farmへの委託販売、クリエイターのアサインだけ、といった形まで対応可能です。

ーーUUUMさん・トランスコスモスさんとの提携も発表されましたね。

CAP(Creator Agency Partner)の部分ですね。MCN機能として、クリエイターの育成支援をしています。今後、TikTok Shopにシフトしたいインフルエンサーやクリエイターはどんどん増えてくるはずです。ただ、ギフティングメインのいわゆる「ライバー」がそのまま物販に移れるかと言うと、結論できないんです。やり方も構成も全部違うので、それなりのトレーニングが必要。そのイネーブルメント部分もCREOKとして提供しています。

ーーCREOK LABというスタジオも運営されていますが、スタジオを使うメリットは何でしょうか。

一番は、CREOKのスタッフとリアルタイムでフェイス・トゥ・フェイスのやり取りができること。TikTok Shop自体が新興のビジネスモデルなので、難しいニュアンスの言葉もたくさん出てくる。何も分からない状態から来ていただくお客様も多いので、現場でやった方が圧倒的に効率がいいんです。

CREOK LABは機材から場所から商品まで、全てニーズに合わせて提供可能です。自社で全部用意できるなら良いのですが、立ち上げ期にカメラ・照明・ネットワーク等を今すぐ構築できないという場合は、まずCREOK LABでスタートしていただく形を取っています。

皆さん最終的には内製を考えられています。それまでCREOKが伴走して、内製化された後も関係が切れるのではなく、角度を変えて、アドバイザリングや商品開発でサプライヤー側に回るなど、協業させていただくパターンを取っています。

ーー同業他社との差別化、CREOKを選ぶ理由はどこにありますか。

自負しているのは、商品提供ができるという点です。サプライヤーを我々が持っている。岡本が持っているTAP文脈の商材、つまり楽天ですでにバズっているもののサプライチェーンがCREOKにはある。クリエイターや企業の方で「売れるものがない」と困っている方にも、我々から商品を提供できる。EC事業を20年やってきたメンバーのサプライチェーンは、やはり圧倒的な差別化になっていると思います。


「週1〜2日、1〜2時間で成功するビジネスは存在しない」。参入企業に求めるマインドセット

ーー自社アパレルブランドTikTok Shop新規立上げからわずか2ヶ月目にして、月間GMV2,500万円を達成した事例がありますが、成功要因は何だったのでしょうか。

シンプルに「タイムマシンビジネス」だからです。売れるロジックを我々が把握していた。先行する16カ国のデータから、何がどう売れるかを事前に知っていたからこそ、早期にこうした実績を構築できた。アパレルが特別ハマりやすかったという面もありますが、ロジックが分かっていれば食品でも日用品でもスタートダッシュは切れるはずです。

ーーライブコマースで売れるブランドと難しいブランドの違いはありますか。

「ブランド」と言うと語弊があるので「カテゴリー」でお伝えすると、楽天やAmazonの人気カテゴリーTOP5と、今のTikTok Shopの人気カテゴリーTOP5は、ほぼ同じなんです。反面、売れないカテゴリーもほぼ並んでいる。つまり、ECで売れているものはTikTok Shopでも売れやすい。

逆に、ECで売りづらかったものがライブコマースで売れるケースもあります。リアルタイムのコミュニケーションで商品の魅力を直接伝えられるので。伝統的なECでは起きづらかった「衝動買い」が、ライブコマースでは起きやすい。これが一番の違いかもしれません。

ーー企業がライブコマースを始める際、最低限準備すべきことは何でしょうか。

個人的な見解ですが、最低限必要なのはマインドセットです。そこがないと先に進まない。

まだ多くの企業が「TikTokって女子中高生が踊って歌うプラットフォームですよね」「ユーザーの年齢層も20代ぐらいでしょ」と勘違いされている。その状態で参入しても成功しません。最低限の基礎知識を入れていただいて、TikTokに対するマインドセット、捉え方を変えることが出発点です。

ーーPoCやトライアルでやりたいという企業も多いのではないですか。

「とりあえず週1〜2日、1日1〜2時間配信してみたい」という企業がほとんどです。10社いたら9社がそう言います。私はそういうお客様には「それならやめた方がいいですよ」とお伝えしています。

理由はシンプルで、TikTok Shopもリアル店舗と全く同じだからです。「今日開業しました。でも週1〜2日しかオープンしません。営業時間も1〜2時間だけです」。そんなビジネスモデルで成功する業態は、世の中に存在しません。

とはいえ、このタイミングでがっつり予算をかけるのも難しい。だから我々もハードルを下げて「まずやってみましょう」「成果報酬でやりましょう」と工夫しています。委託販売でも丸投げでもクリエイターだけのアサインでも、いかようにも提案できるので。大事なのは、まず「Go」というマインドセットを持つこと。その先は、我々がいくらでもご提案できます。

もう1つ、特に大手企業に多いのですが、TikTok Shopを「新規事業」として社内を通そうとすると、年間予算の枠組みの中でがっつり予算を取るのが難しい。であれば、TikTokは一気通貫のプラットフォームです。ブランディング・PR、オンラインからオフライン店舗への送客、物販、広告まで全てできる。広告予算・マーケティング予算として考えた方が社内は通りやすいですよ、とお伝えしています。


後編では、ライブコマースで活躍するクリエイターに求められるスキルと育成の仕組み、そして「3年でIPO」「スーパーコマーサーの創出」というCREOKの野望に迫る。

「15分で8億円」の世界が来る?スーパーコマーサー創出と、日本ライブコマースの未来図|CREOK CEO 桜井吉男〈独占インタビュー・後編〉

〈企業情報〉

株式会社CREOK:https://creok.co.jp/

所在地:東京都江東区毛利2-9-20 4F(JR総武線・半蔵門線「錦糸町駅」徒歩8分)

設立:2025年7月 / 資本金:1億円(資本準備金含む)

クリエイターのお問い合わせ:

企業のお問い合わせは:info@creok.co.jp


桜井氏 プロフィール

桜井 吉男(さくらい よしお)

株式会社CREOK 代表取締役CEO。東京都出身。高校卒業後に中国へ渡り、足掛け18年にわたり日中ビジネスに従事。義烏で国際貿易の総合商社を起業し、日中韓3か国間のノベルティ・販促物貿易を展開。その後フィンテック事業のCEOを経て、2018年にByteDance Japanに参画。TikTokの日本市場立ち上げを主導し、上席執行役員を務める。2022年にはLark日本法人の代表取締役を兼任。20年以上にわたる日中ビジネスの経験と、ByteDanceで培ったデジタル戦略の知見を武器に、2025年7月、TikTok Shopに特化したインフラカンパニー「CREOK」を共同創業。

〈ライブタイムズ編集部〉

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